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♪レッスンの引き出し 道具編

ペグで調弦するか、アジャスターで調弦するか

バイオリン・ビオラの調弦、ペグとアジャスターのどちらでしていますか?

かっこいいからペグでする? 楽だからアジャスターでする?

どちらを選択するかは、もっと現実的な、自分に合った理由で決めましょう。

 

初めてバイオリン・ビオラを習い始める方は、テールピース一体型の

アジャスター(写真)がいいです。

ペグでの調弦は難しいからです。

 

これからバイオリン・ビオラを始めるのだ、という生徒さんの中に、

アジャスターの付いていない楽器を持ってこられる方がおられます。

譲ってもらったので始めてみようと思った、という方もおられますが、

購入してこられる方もいます。

 

ペグが調整されていない楽器にも、少なからず出会います。

アジャスターが付いていれば調弦に支障がない、

と言えないこともないのですが、
やはりペグは調整されてからお客様へ渡されるべきだと思います。

 

職人さんの工房や、バイオリン等の弦楽器専門店であれば、
ペグがスムーズに回らない楽器を売ったりしません。

バイオリン歴を尋ねてアジャスターの要不要を確認しないで売ることも、ありません。
楽器の買い方、詳しくは、
2019.12.02 バイオリン・ビオラはどこで買ったらいいか
の記事をご覧ください。

 

 

目次

(1)アジャスターについて

弦とアジャスターの歴史

バイオリンという楽器が出てきたころ、弦の素材はガット(羊の腸)でした。
伸び縮みが大きいガット弦は、大きく動かせるペグでの調弦が合っていました。
ガット弦の次に登場したのは、スチール弦でした。
ガットに比べると、スチールは殆ど伸び縮みしません。
スチール弦をペグで調整するのは、恐ろしくやりにくかったのではないかと思います。
そのあとにナイロン弦が登場し、現在ではナイロンの巻き線が主流となっています。
E線だけはスチールの単線が多く、スチールの巻き線もあります。

アジャスターが何年ごろに登場したのかは、分かりません。
金属加工の技術が進歩して、日常生活の中の小さな道具にも金属が気軽に使われ出したころ バイオリン弦にスチール製が登場し、
それを追うように金属製アジャスターが登場したのではないか、と思います。

アジャスターの利点と難点

基本的にアジャスターは、無いに越したことはありません。
アジャスターを付けることによる難点は、たくさんあります。
①弦の、駒に当たる位置が変わる。テールピース側の角度が変わる
②重くなる(L型だと5gほど)
③構造が複雑になり、雑音などのトラブルが起きやすい
④音質が変わる、悪くなる、木質的でなくなる

それでも
①調弦が易しい
②精神的プレッシャーが無い
③微妙な調整ができる。演奏中もサッとできる。

という大きなメリットがあります。

調弦に時間がかかると、練習する気が失せるし、練習時間も減ります。
また音合わせが適当では、音程に対する感覚を育てることができません。

(2)アジャスターの形状

アジャスターの形状は、
テールピースに取り付ける金属製のもの3タイプに加え、
テールピースごと交換するプラスチック一体成型のものがあります。

① L型

世の中に最初に登場したL型は、一番でん!としていて、
いかにも壊れにくそう、安くて、可動域が大きく動かしやすいです。
最大の欠点は、テールピース側の弦長がかなり短くなること。
またネジを押し込みすぎると、バイオリンの表板を傷つける危険があります。

バイオリンのE線には、ボールエンドとループエンドがあります。
L型は、ボールエンドの弦を取り付ける形状となっています。
しかし間違ってループエンドを買ってしまった場合でも、
装着できないことはないです。

バイオリン・ビオラいずれも、L型を購入されるときは、
弦のボールを引っ掛ける箇所の幅にご注意ください。
「普通」と「幅広」がある場合が多いです。
通常バイオリンであれば、スチール単線のE線には「普通」を、
それ以外には「幅広」を用います。
アジャスターの幅は、メーカーが違えば微妙に違います。
弦の太さも、ブランドによって違います。

② ヒル型

ヒル型は、L型の短所をなくそうと開発されたのだと思いますが、
L型にはない欠点があります。

・ネジの可動域が小さい。

・鉤(カギ)の部分で弦が切れることがある。
ちゃんとした職人さんは、角で弦が切れないか確認し、
やすりで削るなどしてから取り付けてくれます。
また、弦が切れないよう改善したメーカーもあります。

・引っ掛ける鉤が大きい(背が高い)ものは、駒からテールピース側への角度が浅すぎて、音質への影響がある。
鉤の形状はいろいろあり、材質もいろいろです。
鉤が小さいほど、弦の角度は自然になります。
ヒル型は選択肢が多いので、相談できるようなお店で買うといいでしょう。

・機構が小さいので、壊れやすい、高い。

弦はループエンドでなければ取り付けられません。
間違ってボールエンドを買い、ラジオペンチでボールを取り除いたことがありますが、結構はずれにくいです。
「ボールエンドだけどループエンドにも出来ます」とうたっている
はずしやすい弦もあったりします。

③ 分数バイオリン用

弦のテールピース側をはずさないと付けられないL型・ヒル型と違い、
弦をゆるめるだけで取り付けられますが、フルサイズの楽器には向きません。
楽器に比べてアジャスターが小さすぎるのです。
(フルサイズ用の、この形状のアジャスターがあってもいいと思うのだが。)
弦をはさむ隙間の幅も2種類あって、E線には「普通」、ADG線には「幅広」を使います。
ネジの可動域も小さく、押し込むほどに硬くて動かなくなりますが、
単純な形状で、安いです。

④ テールピース一体型

テールピースとアジャスターが、プラスチックの一体成型になっており、
全ての弦はずして、テールピースごと交換します。
エンドピンへの影響があり、テールガットの長さ調節もいりますから、
工房で購入して交換してもらうのがベストです。

4弦全部にアジャスターを付けるなら、一体型がお勧めです。
余計な部品のないスマートさ、ネジの回しやすさ・可動域など、
使い勝手はダントツにいいです。
材質がプラスチックなことによる壊れやすさや、音質への影響など
短所はありますが、メリットの方が大きいと思います。

テールピース部分が、ローズウッドなどの木製タイプもあります。
こちらの方が響きはいいでしょうし、見た目もいいです。
アジャスターはプラスチックですが、一体成型のものと比べると、
ネジの可動域が極端に少ないです。

(3)調整されているペグとは

①ペグと楽器のテーパーが合っていること
②ペグコンポジション/ペグソープなどが塗ってあること
③力のかけやすいペグの向きになっていること
です。

楽器を引きわたす側がすること

ペグを穴に差し込むのと反対側の、ペグの先端を見てください。
EA線なら左側、DG線なら右側。
穴の際までペグが入って埋まっていますか?(写真 上の楽器)
または1~2mm出ていますか?(写真 下の楽器)
埋まっていない、また4本のペグの出具合がバラバラなのは、①ペグと
楽器のテーパーが合っていないのです。

①の調整がされていない楽器は、ペグの先端が穴の際まで届いていない
ことが多いです。
ペグは穴との摩擦により止まっているので、ペグと穴の接している面積
が狭いということは、ペグがゆるみやすいということです。
テーパーとは大きさや角度のこと。
合わせるための鉛筆削りのような専用の工具があります。

職人さんの工房や、バイオリン等の専門の楽器店では、仕入れた楽器の
ペグが未調整であれば、お客さんに引きわたす前に調整をします。
利益の少ないアウトフィットバイオリンの場合、状態がひどくなければ
しないこともありますが、
(アウトフィットとは一式という意味で、楽器と弓とケースがセットに
 なっている初心者向けバイオリンのことです)
数十万円以上の、楽器と弓をそれぞれ別に選ぶような価格帯の楽器であ
れば、ペグは調整して販売するのが通常です。

近年アウトフィットでも、メーカー出荷時にペグ調整がされているもの
が増えてきました。
ネットショップなど販路が多様化し、エンドユーザーの手に渡る前に
①の作業が為されないケースが増えたからでしょうか。

アジャスターも昔は、販売時または購入後に金属アジャスターを後付け
していたのですが、最初からウィットナー社の一体型が付いているもの
が多くなってきました。

弦も、ナイロン巻き線のドミナントが目立ってきました。
分数バイオリンは使いまわされることが多いので、ずっと安くて強い
スチール弦だったのですが。
ドミナントが張ってあると、それだけで楽器のグレードが上がったよう
に見えますし、実際に安物弦より楽器の鳴りが良くなります。
ENAは安い弦を張っていますが、これは唯一の日本製ゆえでしょう。
同じ金額を出すならば、ドミナントを張っている他国製より、ENAが
いいと思います。

自分ですること

通常楽器は、ペグコンポジション/ペグソープが塗られた状態で
販売されています。
購入後は自分で塗りましょう。
塗らないでいると、だんだんペグの滑りが悪くなってきます。
ペグが回りにくくなってから塗ろうとすると、一旦弦を外して、再び張らなければなりません。
一度ペグに巻き付けた弦は、新品の弦に比べると張りにくいものです。
弦を交換するときに、予防的に塗る癖をつけましょう。

ペグの角度は、ペグ調弦をするときに、
力をかける加減がしやすい向きに決めましょう。
ちなみに、ナイロン弦は張ってから1週間で1/4周くらい伸びます。
ですので、弦が伸びたあと丁度よいペグの角度となるよう、考えましょう。

オケの調弦時、コンマスのAに合わせてペグを下げ上げできますか?
大きく狂っていなければ、恐いので動かさない。
指板側に引っ張ったり、スクロール側に引っ張ったりして、ごまかす。
それではいい音程・音色での演奏ができません。
ペグの調整がされていれば、恐くないですよ。

(4)アジャスターを付けるか? ペグで調弦するか?

バイオリンの場合

バイオリンのテールピースのE線の箇所に
ほぼ必ずアジャスターが付いているのは、
音が高いため、スチールの単線が多いため、
微調整が要るのです。

バイオリンのADG線も(ビオラのC線も)、
スチールだとアジャスターを付けたりします。

EAの2本に付いているのを、分数バイオリンなどで見かけます。
バイオリンという楽器は、A線の出番が多いためではないかと思います。
ビオラは、特にオケなんかで弾いていると、G線C線の出番が多いですね。
バイオリンとチェロの間の音域担当ですから。

ビオラの場合

ビオラの第1弦(A線)は、バイオリンのE線に倣ってかアジャスターが付いていることが多いですが、
ペグ調弦でもいいと思います。
バイオリンのA線には付いてないですから、音の高さはあまり理由になりませんね。
A線だけスチール単線、ということもないですし。

ビオラの弦にL型アジャスターを付けると、弦の
駒に当たる位置がかなり変わってしまいます。
弦は、駒(下駒)に当たる場所、ナット(上駒)に当たる場所が、その音程に適するように設計・開発されています。
駒に当たる部分が、数センチずれるのは、相当な狂いだと思います。
モーツアルトのシンフォニアコンチェルタンテなど、調弦を半音上げるだけでも、
弦に無理を強いている感じがします。

ヒル型でビオラに付けれるものがあればいいのに、
と思うのですが見当たりません。
ループエンドの弦がない、という理由もあるのでしょう。

バイオリンに比べると、大きくて重たくてベグも遠いので、
その分ペグでの調弦はしにくいです。

最後に

下が私のバイオリン、上が私のビオラです。

著名な演奏家でも、E線以外にアジャスターを付けていることがあります。
楽章間や弾いている最中に、こまめに調整できるからではないかと思います。
金属を4つ付けている方もいるし、プラスチック一体型を使っている方もいます。

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