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♪レッスンの引き出し 道具編

バイオリン・ビオラ 駒の調整

バイオリン・ビオラ・チェロなどの弦楽器専門店へ行くと、駒や魂柱が

パーツとして売っていることがあります。
値段も安いので、買ってみたくなります。

 

しかし、駒も魂柱も、そのまま楽器に装着することはできません。
削らないと使えないのです。
楽器「製作」の範疇になるので、職人さんに相談・依頼しましょう。

 

 

楽器を弾いていると、駒の傾きが変わったり、位置が動いたりします。
これは自分でチェック・修正できます。
レッスンで先生に調弦してもらっていれば、先生がしてくれます。

 

とくに分数バイオリンは、よく駒が動きます。
子供のうちは楽器をていねいに扱えないので、知らないあいだに何かに

当たっているのでしょう。
サイズが小さいほどかかっている圧が低いのも、動きやすい理由です。

目次

(1)自分ですべき駒の調整

①駒の傾き

駒の傾きは、テールピース側の面を、楽器の表板と垂直にします。
指板側の面は、90度+αの角度になります。
弦を張り替えたばかりの時は、弦が伸びていくにつれて傾きが変わって
ゆくので、こまめにチェックしましょう。

駒の傾きを直すときは、楽器のエンドピン側を自分のおなかに向けて、
楽器が動かないようしっかりかかえ、両手で駒の両側の上端を持って、
手前に「くいっ」と押します。

「くいっ」が強すぎると、駒が倒れます。
まず慎重な力加減で押して、動かなければ押す強さを増していきます。
動かないけれど、これ以上強く押したら駒が倒れそう、というときは、
一旦ペグをゆるめます。
E線側の方がテンションが高いので、E線A線をゆるめて再トライして
みましょう。
ペグをゆるめて駒を動かしたばあいは、あとでペグを戻すことも計算に
入れて、駒の傾き具合を決めます。

E線のみアジャスター、ほかの弦はペグで調弦しているばあいは、駒が
ねじれてきます。
E線はアジャスターのほうへ、G線はペグのほうへ引っ張るからです。
駒の傾きをテールピース側へ修正するときは、G線側を強めにしましょう。
駒の溝に、柔らかいエンピツの芯を塗ると、少しですがねじれの予防に
なります。

傾いたまま放置されていると、駒が歪曲してしまうことがあります。
あわてて駒を交換せず、正しい傾きにしてしばらく様子を見ましょう。
安物でなければ、まっすぐに戻ることが多いです。
弓も同様です。
強く張られて反対のそりになってしまっていた弓が、ゆるめて数週間
たったら戻ったこともありました。

②駒の位置

左右のずれは、中心軸に来るように直しましょう。

前後は、f字孔の内側の切れ込みの位置だとも、内側と外側の切れ込み
の中間の位置だとも言われますが、そうでないこともあります。
とくに古い楽器は違います。
職人Sさんは、指板の下端からの距離、テールピースの上端からの距離
を計っていました。
岡田信博氏の本には、ネックの長さから駒の位置を割り出すとあります。

(2)②で後述する駒の高さによっても、位置は変わってきます。
指板から駒が遠ざかると、指板と弦のあいだが狭くなります。
指板に駒が近寄ると、指板と弦のあいだが広くなります。

適切な位置は、弾き手の希望によって変わるし、楽器によって違います。
ニスに跡がついてることもありますし、職人さんが書いた白いチョーク
の跡が残っている(残している)こともあります。
標題写真の私のバイオリンは、Sさんがチョークの跡を残しています。

魂柱との位置関係もあります。
楽器の調整を任せている職人さんがいるのであれば、その方が考える
自分の楽器の駒のベスト位置はどこかを、聞いておくと良いでしょう。

動かし方は、駒の傾き調整と同じです。
軽く力を入れて動かない場合は、無理をせず、ペグをゆるめて動かしましょう。

<道草> パーツの品質について

駒や魂柱は、楽器のなかで最もテンションのかかるところです。

安物だと、ねじれたり曲がったり、楽器を傷つける恐れもあります。
7万円の価格帯より安い楽器に、使われているのを見かけます。
とくにネット上の安い楽器は、弦が古かったり、駒が安物だったり、
安物買いの銭失いになる恐れがあります。
掘り出し物のこともありますが、それは運が良かっただけです。
「職人が削って装着しています」という文言を見て買ったバイオリンの
駒が、子供の工作のようだったこともありました。

予算の都合があるばあいでも、せめて実物を見て、音を鳴らしてみて、
買うことをお勧めします。
音色のわるい楽器、発音しにくい楽器、好きでない楽器では、長続きしません。
バイオリン・ビオラは、こつこつ長く続けることで、上達します。

安物の駒は、信頼できるメーカー(AUBERT等)の数分の1の値段で、
恐ろしいほどの価格差があります。
標題の写真の駒に、AUBERTの刻印が入っているのが見えるでしょうか?
ニセモノの刻印もあるようです。
チェロやコントラバスなど大きな楽器の方が、駒の素材の悪さの影響を
受けやすいです。

弦も同様です。
弦は、ピラストロ社 か トマスティーク社 のものにしましょう。
E線は Gold brokat で問題ありません。

予算の都合で安い楽器にしたい、でも実店舗が近くになくてネットで
買わざるをえない、そんなばあいのお店選びは、
・実店舗もあり、ネットでも売っている
・高い値段の楽器も取り扱っている
・購入後の不具合にたいする方針が誠実
・電話で問い合わせができる
などを目安にしてみてください。

(2)職人さんに任せる駒の調整

先に述べたとおり、駒というパーツは削らないと使えません。
職人さんの作業を見ていると、実に簡単そうに削っています。
私は豆カンナを借りて顎当てを削ったことがありますが、ちょいと修行
した程度であんな風には削れません。
また駒を削るのは職人さんにお任せする作業ですが、どうして欲しいか
決めるのは弾く人です。

①駒の脚

楽器の響きを決める、もっとも重要な作業です。
楽器の表板のカーブに合わせて、ぴったり吸いつくように削ります。
厚すぎると鳴りがわるく、薄すぎると強度がなくなります。

②駒の高さと厚み

左指の押さえやすさに直結するのが、駒の高さです。
左指の押さえやすさを最優先して、高さを決めるのが良いと思いますが、
ほかにも以下のような要素があります。

・駒が高いと、音量が大きく、音がくっきりと響く
・左指を押さえるのに力がいり、良いフォームを身につけにくい
・弦の張りが強いため、弓を引くのに発音に少しコツがいる

・駒が低いと、音量が小さく、音質が柔らかい
・左指が押さえやすく、フォームを整えやすい
・弓を引くとき発音はしやすいが、くっきりした音は出にくい

初心者のうちは、駒が低め、ナット(上駒)が高めだと、左指は押さえ
やすいです。(ネックも細いとさらに押さえやすい。)
なかなかそこまで調整して、習い始める、ということにはなりませんが。
木は収縮・摩耗していく素材なので、オールドorモダン楽器でない限り
たいてい高めの駒がついています。

厚みを削る作業も必要です。
パーツとして売られている駒は、高さも厚みも大きめになっています。

・駒が厚いと、まろやかな音
・厚すぎると、鈍くてこもった音になる

・駒が薄いと、くっきりした音
・薄すぎると、きんきんする
・薄すぎると、強度がなくなる

③駒の傾斜と溝

傾斜というのは、駒の上端のカーブのことです。
傾斜がないと、隣の弦を引っかけてしまいます。
ありすぎると移弦するときの腕の動きが大きくなり、重音が弾きにくく
なります。
駒のカーブは、指板のカーブと合っている必要があります。
弾く人にとって、指板の何mm上に弦があるかが、左指の押さえやすさ
に直結するからです。

新品の駒はE線側とG線側が同じ高さになっていますが、E線側が低く
なるよう削ります。
最もテンションの高いE線を、押さえやすくするためです。
G線へ行くほど、指板との距離が広がります。
E線の押さえやすさは、ナット(上駒)の高さも影響します。
本来の順で言えば、駒の傾斜が決まってから、ナットの傾斜が決まって、
指板の傾斜が決まります。

最後に弦がはまる、溝の位置と深さを調整します。
位置は、指板の幅や、指板&駒のカーブの具合によって、変わります。
溝は、浅いと弦がずれやすく、深いと響きが悪くなります。

年月が経つと、弦が駒に食い込んできます。
細くてテンションの高いE線は食い込みやすいので、予め保護します。

・駒に象牙・黒檀の小片を埋め込む(職人さんに依頼)
・駒に透明な皮のカバーを張る(私の教室でも行っています)
・E線についている保護管をはさむ(自分でできる)
 「2020.09.08 バイオリン・ビオラ 弦の交換方法」を参照

などの方法があります。
音質的には何も介しないのが良いと思いますが、そうなると頻繁に駒を
交換しなければならなくなります。

しばらく使わない楽器は、駒に弦を食い込ませないためにも、E線A線
をゆるめて保管しましょう。

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