中川恵バイオリン・ビオラ教室
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レッスンの風景 事例集

レッスンの風景 事例集

2019/12/23

私の教室では、おひとりおひとりに合わせて異なるレッスンをしています。教材の組み合わせはもちろん違いますし、教材が同じでも教える内容は違います。

言い方、伝え方、厳しさ度合い、OKとするレベルも変わります。この生徒さんには何をどこまで伝えるか、説明するか、全て違います。

具体的にどんな風に異なるのか、今年外部教室で教えた生徒さんたちの事例で、ご紹介したいと思います。(当HPの教室に通われている生徒さんは、登場しません。)

 

良く使うテキストの名前は、省略形にしました。

「子供のためのバイオリン教室」→「子供」

「全音楽譜出版社  やさしいヴァイオリン曲集  <上>」→「全音」

 

 

未就学 Rちゃん

「子供 上巻」

●できるだけ沢山楽器に触ってもらえるよう、その場その場で何をするか考えます。バイオリンが「好き」「楽しい」「弾きたい」という気持ちを折らないよう、気をつけます。

●保護者さんへは、生活のリズムの中にバイオリンを弾く時間を入れる、大人の思い通りにしようとしない、ことをお願い。

 

 

小学生 Rくん

「子供 下巻」「スズキ1巻」、葉加瀬太郎の曲集

●その日に何をするかは彼が決めます。先生が弾くのをイヤがります。自分が早く弾きたいからです。

なぜ早く弾きたいかというと、早く「ゴウカク」したいからです。

早く弾いたからといって早くゴウカクするとは限らない、とは未だ気付いていません。

彼が弾いたあと先生は、何ができたらゴウカクになるかを言い、彼は再挑戦します。

弾けてないけど、彼のモチベーションを保つためにゴウカクにしたい時は、「小ゴウカク」をあげます。良く弾けたときは「大ゴウカク」。「中ゴウカク」のときもあります。

 

 

小学生 Sくん

「スズキ1巻」「全音」「やさしいカイザー」「ヴァイオリニストのたまごたちの音階あそび」、口伝スケール

●好奇心旺盛でなんでもすぐに理解します。色んな教材や手法を試します。ポピュラー曲の好きなものをさせてあげながら、単調な辛抱のいる練習をさせます。口伝でスケールをさせ、楽典を易しく説明します。

●落ち着きがないところがあり、彼の注意をひくような言葉や態度にします。声の大きさ 言葉の選び方は 少し強めに。文は短めに。

●身体がぐねるのが課題です。ぐねり方から察するに、電磁波の影響かなと思います。ゲーム仕立てのスクワットや綱引きを、レッスンの中でやります。

●保護者さんにも、家での練習時にしてもらいたいことを、教えます。レッスン中もそれをやってもらい、上手にできたときはナイスサポートと声をかけます。

 

 

小学生 Rちゃん

「サスマンスハウスはじめてのヴァイオリン教本1」「全音」

●音楽的な能力は高いのですが、体幹が弱く、姿勢がねじれています。音を聴き取る、音符を読み取るとき、まごつくことがありますが、身体と関係があるように見えます。

構えたときや弾いてるときに、ねじれた姿勢をほどくように、勝手に身体を動かします。言葉での説明もします。自分の意思の力で気をつけるようになり、身体感覚が目覚めてきました。

 

●家でも自分から練習をしますが、曲ばかり弾いているようです。レッスンでは、基礎練習をやる前とやった後で、曲の弾きやすさに違いがでることを、繰り返し体験してもらいます。保護者さんにも家での練習時にしてもらいたいことを伝え、レッスン中も手伝ってもらったりしますが、家で子供さんをあまり構わない家風のようです。自ら楽しんで弾いているようなので、特に変える(保護者さんが家での練習時に子供を構う)必要はないと思っています。保護者さんのサポートがある方が上達しやすいですが、「コントロール」になるとよくありません。「共依存」と言い換えることもできます。

 

 

小学生 Sちゃん

「スズキ1巻」「全音」「子供のためのソルフェージュ」、耳コピー

●レッスンで聞いて納得したこと、実践して出来たことが、一旦レッスンルームを出ると抜けてしまいます。恐らくそれが理由で、発表会の出来は毎年良くありません。保護者さんも、家でしてもらいたいことをお伝えしても抜けてしまうようです。理解してもらう必要がある、修得してもらう必要があることは、何度でも繰り返し様々な手法で伝えます。時々息抜き(何も伝えない)しますが、また気を取り直して伝えます。

 

●楽器や本の扱いが、細やかで丁寧。彼女への説明は、優しく丁寧にしゃべるようにしています。厳しい指導をしてみても、功を奏さない、きょとんとしています。優しい言い回しだと、彼女の中へ入っていくようです。

 

●身体がふらつくため、跪座(きざ)の姿勢で弾くことなどを取り入れています。腸が弱く、食べ物の影響が身体感覚に出ます。レッスンで綱引きを続けていたら、綱引き時の身体のコツが掴めてきたようです。と同時に、バイオリンの構え方も上手になってきました。

 

 

小学生 Aちゃん

「全音」、耳コピー、ピアノ教室でやった好きなポピュラー曲

●素直で、やることが丁寧で、快活な子。以前は毎日おうちで練習していたのですが、練習してこなくなりました。暗く沈んだ顔をしてレッスンに来ます。

上達するために必要なことを優しい言葉で伝えても、イヤな顔をします。彼女がイヤな顔をする発言はやめて、レッスン時間を彼女にとって楽しいひとときにすることにしました。

 

 

 

中高生 Mちゃん

「ホーマン2」「スズキ4巻」「子供のためのソルフェージュ」、耳コピー、スケールプリント

●素直でひたむきです。不器用です。元来の生命力は強いのですが、電磁波や添加物など外部からの影響を複合的に受けやすいようです。

保護者さんの協力を得ようと説明を試みたのですが、うまく伝わらなかったので、意識の持ち方で克服できるよう方針を変えました。

少し発達障害なところがあり申し訳ないとおっしゃるのですが、食べ物・電磁波・経皮毒などからの暴露を減らせば、回復できることを知って欲しかったです。

手製のプリントや、工作物は、かなり色々作りました。

大人の方へは言葉で説明するようなことも、子供は弾いている最中に身体を勝手に押したり引いたりするのですが、彼女は身体に勝手に触ると身体がビクンと痙攣します。押したり引いたりして覚えさせることができないタイプの子でした。

 

●話に耳をかたむける辛抱強さ、素直さ、そして聞いたことをやろうとする粘り強さが、幼い頃からありました。

細部の説明(指の型など)をしすぎると、細部に強くとらわれてしまうので、身体に関して大きく意識できるような言い回しを心がけます。

 

●聴音・読譜が苦手で、ソルフェージュを取り入れました。左指の強化もかねて、ピアノは左手で弾きます。

 

 

中高生 Yちゃん

「新しいバイオリン教本3」「スズキ3巻」「日本の歌 曲集」

●小学生のとき4年ほど習い、3年ほどのブランクののち来ました。音楽的な能力はとてもあり、意思も強いです。

●姿勢が前かがみで、小さく固まっています。弓が真ん中しか使えず、ポジションで左腕が上がりません。ポジションがばんばん出てくる曲に到達しているので、3rd専用の基礎練習をすることに。

 

●自分で決めたい性格のようなので、本人がやりたくなさそうなことは強要しません。”先生の教える通りにやると、身体が痛いので出来ない(やりたくない)” と言います。痛いのは、自分で身体を固まらせているからなのですが。先生は ”そう” とだけ言って、にこにこしています。「身体が痛いので出来ない」を本人が克服したいという気持ちが出てくるまで、待っています。

 

 

中高生 Hちゃん

スズキ2巻からスタートして、スケールプリント、オケの曲

●小学生のとき数年習っていましたが、弾き方が腑に落ちていなくて、さほど好きでもなかったようです。

●身体のこわばりがひどい。腕や指が動きにくい。ゆったりとした素直で柔軟な子で、内側(意思・意図・想い)からの影響は考えにくく、外部要因を考えたのですが、分からないままです。いまの身体はどうなっているのか観察し、どう変えれば良いのか色んなアプローチを試みる、というアレクサンダーテクニーク的な手法で、改善に取り組みました。

●本人が辛抱強くコツコツ取り組み、当初に比べるとかなり楽なフォームになりました。そして学校のオケにまで入ってしまいました。

 

 

中高生 Kちゃん

「シェラディック」「スズキ3巻」

●音楽的な能力は高いのですが、姿勢がねじれています。初回レッスン時に楽器本体の位置取りについてアドバイスをしたら、それが目からウロコだったらしく、2回目には修正してきました。弾いている最中に、先生が時々、どこかを引っ張ったり、押したり、くりんと回したりすると、あれっ!と新発見することが多いらしく、その方が良いと実感するとどんどん取り入れてきます。左腕のフォームも変だったのですが、勝手に良くなってきました。

 

●全弓が使えない。移弦がスムーズでない。持っていたシェラディックの中の素材を使って、彼女向けのエクササイズを作りました。冬休みの宿題です。

 

 

Sさん

「子供 中巻」「全音」

●お持ちになられた楽器の顎当てが身体に合ってなくて、良い姿勢で構えれない状態でした。顎当ての交換・調整をしながらスタート。

●身体感覚は良い。マインドもほがらかで快活。少しプレッシャーをかけてもついて来るので、身体を大きく使わせて、どんどん弾かせる。

●身体の使い方が独特で、体幹を締め続けるクセがついてしまっている。身体は締めたら、放さないと動きません。彼女に合った放し方を探しているところです。

 

 

Kmさん

「子供 下巻」「全音」、先生手製のスケールプリント

 

●身体の使い方、特に指の使い方が上手ではありませんでした。指を修正するのに、指だけでなく、体幹から、胸から、腕から、膝、腰と、身体の様々な部位からのアプローチを行いました。抽象的なイメージを持つという難しい努力を持続し、腕のフォームは素晴らしく良くなりました。腰と指がもう少し。おそらく腰が良くなれば、指は勝手に変わるでしょう。指はどうあるべきかのロジカルな理解は、既にできています。

 

●楽典の理解力が高く、バイオリン修得への強い意思があります。フォームについても「何故そうなのか」を理解することが、地道な練習のモチベーション維持につながっています。

 

 

Tさん

「スズキ2巻」「ホーマン2」、好きなポピュラー曲集、スケールプリント

●バイオリンの響かせ方を分かっている、高い能力があります。アンサンブル力もあり、読譜力もある。

 

●身体の使い方がヘタで、芯(体幹)から指先を動かすことができません。抽象的なアドバイスを聞いて、イメージを持つことを実直にやります。うまくいったときの音色のとびきりの美しさ、楽々とできる運弓は、体験済みですが、それを再現・定着させることが難しいようです。

 

●身体の使い方が不器用なのは、控えめで謙虚なメンタルの、裏面が作用してしまっているように見えます。鏡に映った自分の姿勢を見ようとすると、視線が逃げてしまいます。自分の見たくない部分を見つめる必要が、あるのかもしれません。バイオリンを弾いていないときの自分をおざなりにしたままで、バイオリンだけが上達することはできません。バイオリンを弾いていないときの指の使い方がヘタで、バイオリンを弾く指の使い方だけが良くなることはありません。

 

 

Oさん

「子供 下巻」「全音」、雑誌サラサーテの付録

●体幹がぼやけていて、右肩の使い方が特に苦手です。同じ体幹が課題でも、ひとりひとりタイプが違い、ボディ全体がぼやけています。

 

●前述のKさんTさんほど「バイオリン命!」ではありませんので、KさんTさんほど追い込みません。あまりプレッシャーをかけず、バイオリンを習うことに楽しみが感じられるよう、気を配ります。元々コツコツ努力するタイプのようで、気がつけばポジションの練習に入れるまでになりました。基礎練習の素材は使わず、曲の中に3rdポジションで弾く箇所を作り、おさらいしています。

 

 

Hさん

「スズキ3巻」「ホーマン2」、スケールプリント

●フォームは必ずしも良くなく、左右かなり不対象なのに、独特の身体操作で器用にバイオリンが弾けてしまう。初心者で1年未満なのに、スズキ3巻に入り、気がつけばポジションも練習させられている。しかしやはり独特の身体使いのせいか、出来ないことがポコッと落とし穴のようにある。本人もそれに気付いており、少しづつフォームの改善に取り組んでいます。

 

●感情に起伏があるので、楽観的なときは厳しく、ネガティブなときは褒めます。人の都合に自分を明け渡してしまうところがあり、もっと自分軸で生きて欲しいと思います。

 

 

Nさん

「子供 下巻」「全音」、口伝でスケール

●音色への感受性が高く、意欲があり、粘り強く練習してきます。おさらいしてきたことを、物おじせず出せます。

 

●身体の使い方が不器用で、こわばり、特に指のこわばりがあります。先生が少し楽器をずらしたり、腕の位置を動かしたりすると、その違いを感じとる身体感覚があります。こわばりは、外部からの物質的な影響を受けている感じですが、マインド(心の持ちよう)は強いと思います。

 

 

Kmさん

「子供 上巻」「子供 中巻」「日本の歌 曲集」、ほかやりたい曲

●自己流で弾いてきたが、習ってみるのも悪くないかも、とお越しになられる。難易度の高くない曲は、持って生まれた才能と気合いで上手に弾けてしまう。

 

●姿勢が固い。首がこわばりやすい。お薬の影響かな?と思う。顎当てが合っていない。身体の動かし方で、目立って気になる箇所を少し意識して直したら、弓のバウンドは無くなった。現在のフォームを大きく変えず、軸が左に寄っている点と、首のこわばりを改善すべく、Kmさんに合ったやり方を模索中。

 

●シフト・ビブラートを習得する段階に来ている。バイオリンの指を置く仕組み、弓を引く仕組み、構え方、楽譜の読み方、などの土台となる知識をまず説明。知ることを大いなる喜びとして、ぐんぐん理解。シフト・ビブラートの動きのための練習の前段階として、場所置きを鍛える練習をしているところ。

 

 

Ktさん

「やさしいヴァイオリン入門」「子供 上巻」「全音」、口伝でスケール

●5年ほど前に数年習っていた。難しい曲をやりたがる。意欲的でよく練習する。

 

●全身がこわばっていて、柔らかく使えない。肩当ては違和感があり付けたくないということで、最初は肩当てなし。肩当ての有無で、どんなことが出来たり出来なかったりするか説明・体感してもらい、タオル肩当てを使うことに。身体のこわばりがある人に、ブリッジ型の肩当ては適さなかったりするけれど、肩当てなしも良くありません。

 

●楽譜をドレミで読み、場所読みができないため、「子供 上巻」を用いるなどして指番号に慣れてもらう。音感があり、移調もできるため、同じ指番号で弦をずらして弾く練習も。やりたい曲にはポジションが必要なので、ポジションの仕組み・概念について学んでもらうと、場所読みがなぜ必要か腑に落ちた様子。

 

 

Kbさん

「子供 上巻」「A DOZEN A DAY VIOLIN」「サスマンスハウスはじめてのヴァイオリン教本1」

●身体のリハビリに、好きな音楽・バイオリンをしたいと来られた。右利き用・左利き用と2台のバイオリンを購入し、その日の調子でどちらを使うか決める。うまく身体が動くと美しい音色が出る。音色・音程への感受性が高い。

●曲が弾きたいと言われる。指板に指を置く練習も、諦めずに考える。

 

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