オケの曲名 短縮形
2022/10/15
「アイネク」とは何か知っていますか?
「モーツアルト作曲 アイネクライネナハトムジーク」という曲名の短縮形です。
クラシック曲の正式名称は長く、分かりにくく、仲間うちの会話に支障をきたします。「うんめい」「でんえん」なら4音ですみますが、正式名称に4音で済むものはありません。
「でんえん」の正式名称は、「べーとーべんさっきょく こうきょうきょく だいろくばん へちょうちょう さくひんろくじゅうはち」。43音です。オケの演奏会のチラシなど見ると、ちゃんとそこまで書いてあります。
アマオケにおけるコミュニケーションに短縮形は必須です。 これがわかるようになれば貴方もクラシック通! アマオケの入団テスト?も楽々パスできるでしょう。
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それでは、独断と偏見で選んだオーケストラ曲の短縮形一覧をどうぞ。
うんりき
ヴェルディ作曲 運命の力
元々はオペラです。オケでオペラの名前が出てきたときは、たいてい序曲のことを指します。
序曲とは、それぞれのオペラの主題歌のようなもの。お芝居が始まるまえに演奏されるため歌や踊りを伴わず、オケのプログラムの1曲目によく採用されます。ワーグナーの「タンホイザー」、ロッシーニの「セビリア(の理髪師)」、モーツアルトの「魔笛」あたりはアマオケには使い勝手がよく、そこかしこで演奏されます。
オルガン
サンサーンス作曲 交響曲第3番「オルガン付き」
会話の文脈から、楽器名ではないな、曲名かな? という時はコレです。交響曲というよりオルガン協奏曲。宇治フィルが2023年1月にやります。
げんセレ
チャイコフスキー作曲 弦楽セレナーデ
弦楽セレナーデという単語は、ジャンルを示すものです。ですから弦楽セレナーデという曲はいっぱいあります。エルガーの弦楽セレナーデも素敵だし、ドヴォルジャークも書いています。しかしコレがとびぬけて素晴らしいため、「弦セレ」と言えばチャイコフスキー作曲のものを指します。
出だしが強烈すぎるため、色んな使われ方をされる不運な曲でもあります。(私は人材派遣会社CMの青い顔を思い出します。)
コバケン
指揮者 小林研一郎
曲名ではありません。知っておいて損はないため、入れてみました。(ほんと?)
同じく指揮者の井上道義氏は、ミッチーと呼ばれています。
京都市響の指揮者 広上淳一氏は、楽譜など仕事の資料を、紙袋に入れて持ち歩いているそうです。お弟子さんが奮発して革のカバンを贈ったのに、使ってくれなかったとか。小柄なので、通用口の守衛さんにマエストロだと気づいてもらえず、呼び止められたこともあるそうです。「のだめカンタービレ」に出てくる指揮者の片平元のモデルでは?との噂もあります。
以上、曲名とは全然関係ない話でした。
だいしゅく
ブラームス作曲 大学祝典序曲
お祝いの曲にしては難しすぎませんか? 1stバイオリンが。
題名に「序曲」と付いていますが、いわゆるオペラの序曲ではありません。名誉博士号を授けてくれた大学当局への御礼として、「大学祝典」という名の通りの主旨でこさえたものです。
タコご
ショスタコーヴィチ作曲 交響曲第5番「革命」
ほとんどの場合「革命」という愛称で呼ばれます。どう考えても「タコ5」より「革命」と呼ばれる方が似合う曲です。ショスタコーヴィチという長い作曲家名は、ほぼ「ショスタコ」と呼ばれます。
ショスタコは交響曲を第15番まで書きました。5番以外の交響曲も「タコ〇」と言うらしいです。
ダフクロ
ラヴェル作曲 ダフニスとクロエ
コブクロと同じ略し方。バレエのために書かれた管弦楽曲です。オケで演奏されるのは、踊りがなくても楽しめるよう再構成された組曲です。
チャイよん、チャイご
チャイコフスキー作曲 交響曲第4番、第5番
チャイコフスキーには6曲の交響曲がありますが、演奏頻度は4~6番が圧倒的に高く、第6番は「悲愴」と呼ばれます。1番は少なめ、2番と3番は滅多に演奏されません。
1番には「冬の日の幻想」という副題?がありますが、これの略称を私は知りません。「ふゆのひのげんそう」と9文字言ってしまいますが、まあ「ふゆのひ」まで言えば分かるか。枚方フィルにバスドラムで出演した思い出深い曲です。打楽器奏者が指揮者になりたくなるのが、身をもってわかりました。(ヒマ、眠い)
2番は小ロシア、3番はポーランドという愛称があります。小ロシアとはウクライナのことらしいです。
ドヴォなな、ドヴォはち
ドヴォルジャーク作曲 交響曲第7番、第8番
ドヴォルジャークさんは交響曲を9つ作りましたが、老番ほどよく演奏されます。第9番は「新世界」です。
どろかさ
ロッシーニ作曲 泥棒かささぎ
オペラの序曲です。いろいろゴタゴタが展開したあと、犯人は(鳥の)かささぎだったということで、ハッピーエンドになるお話しだそう。
ねむり
チャイコフスキー作曲 眠りの森の美女
そのままやん。交響曲第1番は「ふゆの」でいいのでは。
ハイバリ
ブラームス作曲 ハイドンの主題による変奏曲
ハイドンのハイに、変奏曲=バリエーションのバリです。
はくちょうこ
チャイコフスキー作曲 白鳥の湖
「白鳥」で止めるとサンサーンスになっちゃうところを、「こ」を付けることで曲の特定に成功した、見事な短縮形です。
チャイコフスキーの3大バレエ音楽「眠りの森の美女」「白鳥の湖」「くるみ割り人形」はいずれも、バレエの伴奏音楽と、オケ用に抜粋した組曲があります。
はるさい
ストラヴィンスキー作曲 春の祭典
初めて聞いたとき、春雨の親戚かと思いました。バレエ音楽ですが、クラシックバレエではありません。モダンバレエというジャンル(時代?)を確立した革新的な作品です。
ひげじょ
ブラームス作曲 悲劇的序曲
前述の「大学祝典序曲」を書いているとき、対になる曲も書こうと思ったらしい。2曲は同時に発表されています。オペラの序曲ではない序曲は希少で、ほかにベートーベン「コリオラン」などがあります。
ブラいち、ブラに、ブラさん、ブラよん
ブラームス作曲 交響曲第1~4番
はじめてアマオケに入団したとき、必須の課題曲(全部弾けるように)として、先輩からCDを渡されました。
ベー〇
ベートーベン作曲 交響曲第〇番
交響曲を9つ作ったベートーベン。第1番から順に「ベーいち」「ベーに」「エロイカ」「ベーよん」「運命」「田園」「ベーなな」「ベーはち」「第九」となります。
ベー〇ではなく、ベト〇と呼ばれることも。マクドとマックみたいなもんです。
ヘングレ
フンパーディンク作曲 ヘンゼルとグレーテル
半グレではありません。こちらも元はオペラで、オケで「ヘングレ」と言えば序曲のことです。
メンコン
メンデルスゾーン作曲 バイオリン協奏曲
これは多くの皆さまがご存知のとおり。類語にチャイコン、ベトコン(ベートーベン)、シベコン(シベリウス)、ドヴォコン(ドヴォルジャーク)などがあります。
ドボコンだけチェロ協奏曲です。ドヴォルジャークにはバイオリン協奏曲もあるのですが、チェロ協奏曲の評価が大変高いために「ドボコン」と言えばチェロ協奏曲を指すことになっています。
モツレク
モーツアルト作曲 レクイエム
よんじゅうばん
モーツアルト作曲 交響曲第40番
番号情報だけで、あの曲ね、と分かるのは、これくらいではないでしょうか。
1人の作曲家が、同じジャンルで40もの曲を作るのは、滅多にないことです。ベートーベン以降の時代ではありえません。それも番号だけで曲が特定できる理由のひとつです。「3番だけどさ」などと話しても、3番は山のようにあります。
ラフに
ラフマニノフ作曲 交響曲第2番
ラフマニノフには超有名なピアノ協奏曲第2番があります。フィギュアスケートの浅田真央が、ソチオリンピックのフリーで滑った曲です。「ラフ2」と言われると一瞬ピアノ協奏曲かとも思うのですが、交響曲第2番です。
管弦楽曲の王道?は交響曲で、クラシックの作曲家たちは自らの命運をかけて作曲します。そのため管弦楽曲というカテゴリ内で、交響曲は一番数が多くなります。それで「チャイ〇」だの「ブラ〇」といった呼び方が生まれます。チャイコフスキーもブラームスもベートーベンもメンデルスゾーンも、交響曲をいくつも書いているのに、バイオリン協奏曲は1つです。
レプレ
リスト作曲 交響詩「前奏曲」
前奏曲の英語名「レ・プレリュード」をはしょっています。
ロミジュリ
チャイコフスキー作曲 ロミオとジュリエット
プロコフィエフ作曲 ロミオとジュリエット
ニーノ・ロータ作曲 ロミオとジュリエット
「ロミジュリ」がロミオとジュリエットの略称であることは、知らない人でもお気付きになるかと思いますが、曲の特定はできません。3人の作曲家がいるからです。
チャイコフスキーは管弦楽曲、プロコフィエフはバレエ音楽、ニーノ・ロータは映画音楽として書きました。いずれも名曲です。「弦セレ」のように断トツのものはない故、作曲家名を言い添えねばなりません。