バイオリン購入 先生の付き添いが あるとき・ないとき
2024/05/20
バイオリン・ビオラの購入に先生が付き添ったとき、先生はどんなことをしてくれるのでしょう? わからなければ、付き添いを頼むべきか否か判断できません。
また先生が付き添い時に何をしてくれるのか分かれば、それを本人・保護者さんが代行することができるかもしれません。
この記事では、私が生徒さんの楽器購入に付き添ったとき、どんなことをしているかをまとめてみました。
①バイオリン・ビオラのサイズを選ぶ
本人(&保護者さん)が楽器を買いに行ったとき、その場でバイオリン・ビオラのサイズ選びに関して最も知識があるのは、楽器屋さんになります。ですから、楽器屋さんに相談しながらサイズを決めることになるでしょう。
先生がいると、一番知識があるのは楽器屋さんではなく先生になります。楽器屋さんはバイオリンという物体についてのプロであり、先生はバイオリンを弾くことに関するプロだからです。
※なお分数バイオリンの適正サイズは、レッスンで本人に実物を触ってもらい、先生からの説明やアドバイスを聞いてから買いに行ってもらいます。
※ビオラは大人用しかありませんが、バイオリンの大人用と違ってサイズ展開があります。その説明・アドバイスもレッスンでします。
私が付き添った場合、サイズ選びは、本人の快適さ・気持ちを重視します。快適かどうかは、構えた姿を見て判断します。
楽器店が何をもって適正サイズを判断するかといえば、主に「分数バイオリンと身長の対比表」です。(専門店には音大でバイオリンを専攻した店員さんもおられ、構えた姿を見たり、本人の気持ちを聞いてくれることもあります。)しかしこの対比表は、子供たちの体格が良かった昭和の時代のもので、現代の子供たちには必ずしも合いません。
本人がいいと言うサイズと、楽器屋さんがいいと言うサイズが違う、と保護者さんから電話がかかってきたこともあります。本人の意向を重視してください、と返事をしましたが、楽器屋さんの主張の根拠はやはり「対比表」でした。
②バイオリン・ビオラを選ぶ
私が付き添ったとき行うのは、選ばない方がいいバイオリンを除外することです。値段に見合わないもの、その生徒さんの腕前に合わないもの、健康状態に疑問があるものなどです。
また生徒さん・保護者さんのご意向ご性格などがわかっていれば、「もう少し上のグレードも見せてください」と言ったり「〇万円より高い楽器はしまってください」と言ったりします。(これはご本人・保護者さんでもできるでしょう。)
これなら大丈夫と思えるものを2~3台までに絞って、最後は本人に選んでもらいます。
先生によっては「これにしなさい」と選んでしまう方もおられます。バイオリンの買い替えは、今後の人生において再び巡ってくることですから、最後はやはりご自身で選んだほうがいいです。でなければ勉強になりません。
ペグ調弦しない(できない)場合、アジャスター内蔵テールピースがついているかの確認もお忘れなく。
③弓を選ぶ
初心者向けのバイオリン・ビオラは、弓とケースがセットになっています。しかしそれは便宜上セットになっているだけで、楽器・弓・ケースにはそれぞれ独立した値段があります。
私がいる場合は、選んだバイオリンのセットになっている弓を、まず私が弾いてみます。値段や材質を聞いて納得がいけば、本人に弾いてみてもらいます。私の納得がいかなければ、条件(値段など)を言って、ほかの弓を出してもらいます。
バイオリン本体は、値段に見合わないものでなければ好みで選んでいいのですが、弓は手の延長となる道具なので、機能面が大切です。ですから「これ(1本)がいいと思います」という先生からの提案になることも多いです。自分で弾けない初心者さんは特にそうなります。サイズアップ・買い替えであれば、本人が考える余地を残します。
楽器・弓・ケースがセットになっているのは、お客様も買いやすく、楽器屋さんも売りやすいからです。価格をおさえるためでもあります。新品はメーカー出荷時からセットです。中古は楽器店の裁量でセットを作ります。
お客様がみながみなセットでない弓を試したがったら、楽器屋さんの仕事が増えてしまいます。セットでない弓を出してもらうときは、申し訳ありませんが・・という気持ちを忘れないようにしましょう。
毛替えをしてから引き渡します、という中古の弓を、毛替えはいらないので値引きしてください、とリクエストすることもあります。楽器本体の弦も同様です。生徒さんに判断は難しいと思いますが、レッスンに通われていると、弦交換や毛替えのタイミングについて説明するので、だんだん分かってきます。
④ケースを選ぶ
中古バイオリンセットの場合、ケースは融通が効くことがあります。節約志向の生徒さんのために、お店の人が使うつもりのなかったお古を、無料でもらったこともあります。
新品バイオリンだと基本ケースは変えれません。新品は、メーカーからセットで納品されるからです。好みのケースを追加購入して、それに買った楽器を入れてもらうことはできます。外観の可愛さにこだわる子供のために、先に色を確認して注文したこともあります。
⑤肩当てを選ぶ
私はHAYATEをお勧めしていますが、楽器屋さんの前で生徒さんに強く言えないこともあります。そうした場合、楽器屋さんにありそうなものの中から。最善のものを選ぶ努力をします。
楽器・弓・ケースのセットに肩当てが含まれている場合は、それを頂いてきましょう。セットに含まれていない場合、なにを買うべきかの判断は難しいのですが、ブリッジ型肩当てを1個も持たずにバイオリン・ビオラを習う(弾く)ことはあまり現実的ではないので、何か買いましょう。
通常楽器店さんは、KUN、またはKUNもどきを出してきます。KUNもどきとは、後発メーカーがKUNを真似て作った肩当てで、壊れやすく安いです。肩当ては弾きやすさを大きく左右しますが、KUN・KUNもどきは「万人にまあまあ」の肩当てで、すごく良い肩当てではありません。(ちなみに体幹がよいと肩当てに左右されません。)
⑥顎当ての高さを見る
顎当てが高すぎることがあります。その場で言えば(また購入後 間があいてなければ)無償交換してくれます。特に小さな分数バイオリン・ビオラ購入時は、気をつけてください。
顎当てが高かったり、体に当たって痛いところがあると、子供がいやがってバイオリンを弾かないことがあります。顎当て金具・テールピースの飾りなどが体に合わず、その場で交換してもらったこともありました。事後であっても、レッスンで相談してもらえれば、楽器屋さんへのリクエストの仕方を教えます。