山田さんとホセ・ムヒカ
2021/04/25
母屋の庭の、不思議な置き物です。↑
何曜日だったのか、平日だとしたら何故その時間に家にいたのか、忘れてしまいました。
テレビをつけたら、黒衣の女性が 遺族代表のスピーチをしていました。死者107名 負傷者562名を出したJR宝塚線脱線事故のちょうど1年後の2006年。追悼式典の中継でした。
家族を失った悲しみ。JR西日本への憤り。胸に迫ります。
2人目の遺族代表として、おじさまが登壇されました。妻がいなくなった悲しみ。これからの自分の生き方への決意。JR西日本へ向けられた言葉は、ありませんでした。
私は衝撃を受けました。
自分だったら、JR西日本への憎しみを、どう言葉に表現したら伝わるか、夜を徹して考えるでしょう。
おじさんは憎しみを感じないのだろうか?
その人の名前は、山田さんと言いました。
ホセ・ムヒカは、2010~2015年 南米ウルグアイの大統領だった人です。
若いころ活動家だったムヒカは、13年間投獄され、「身柄を確保した際に殺せなかったから、これからお前らの頭をおかしくしてやる」と拷問されました。
しかし、政権交代による恩赦で釈放された3日後のスピーチに、報復の言葉はありませんでした。許すこと、過去を乗り越えることの大切さを語ったのだそうです。
-憎しみは建設的な感情ではない
-憎しみは毒です
-誰も払わない負債を負うために、人生を送ることはできない
誰かから傷つけられるような事件がなくても、人は、自分と違う信念の他者に、憎しみを抱くことがあります。
左翼だったホセ・ムヒカは、こんな発言もしています。
これは猪突猛進な私には、非常に手痛い言葉です。
-思想であれ宗教であれ、狂信は、異質なものへの憎しみを生む
-異なるものに寛容であって初めて、人は幸せに生きることができる
ホセ・ムヒカは「世界でもっとも貧しい大統領」と呼ばれました。彼のもっとも有名な発言は、
-私は貧乏ではない 質素なだけです
でしょう。またこうも言いました。
-貧乏とは、欲が限りなくて満足できない人のこと
-私は持っているもので贅沢に暮らすことができます
私の心のなかには、食べ物(富)が確保できていても、もっと確保しておきたい、という気持ちがあります。
この気持ちとは、どう付きあったら、折りあったら、いいのでしょう?
言うまでもなく「食への欲」「富への欲」は、大切な生存欲求のひとつです。生存の欲求がない種や個は、滅びてしまいます。