中川恵バイオリン・ビオラ教室

クラシック情報誌「奏」

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クラシック情報誌「奏」

クラシック情報誌「奏」

2022/06/12

大阪には「大阪国際室内楽コンクール&フェスタ」という大変ユニークな国際コンクールがあります。1993年にスタートし、3年に1度開催されてきました。直近では2020年がコロナちゃんによりキャンセルとなりましたが、2023年の開催を目指して募集が始まりました。

 

 

■いわゆるコンクールは、国内コンクールと国際コンクールに大別されます。

 

国内コンクールで最も知られているのは、年末にNHKで放映されている日本音楽コンクールでしょう。ピアノ部門/バイオリン部門/声楽部門/作曲部門は毎年あり、チェロ/ホルン/クラリネット/トランペット/オーボエ/フルートは3年に1度です。

 

2012年のバイオリン部門では、京田辺市三山木の周防亮介くんが2位に入っています。もう周防亮介さまとお呼びした方がいいかもしれません。私が初めて彼を見たのは、彼が中学3年生のとき。モーツアルトを2曲聴きましたが、熟成した高級ワインのような演奏でした。

バイオリンを始めたのは7歳だそうです。未就学から始めなくてもいいのです。

 

バイオリンに特化した国内コンクールでしたら、関西弦楽コンクールというのがあります。私の生徒も出ています。

 

また京田辺市のピアノの先生方が、2021年から京田辺市音楽コンクールというのを立ち上げています。コロナ下でスタートするとはすごい気合いです。バイオリン教室でいつもピアノ伴奏をお願いしている金原佳子先生も運営に加わっています。

 

 

■国際コンクールは、クラシック音楽に興味のない方でもその名前を耳にされていることでしょう。最も有名なのはショパン国際ピアノコンクールですが、これはその名の通りピアノ部門だけです。チャイコフスキー国際コンクール、エリザベート王妃国際音楽コンクールは、ピアノ部門もバイオリン部門もあります。

 

諏訪内晶子がチャイコフスキー国際コンクールの審査員の前で披露した演奏が、近年youtubeで見れるようになりました。バッハのシャコンヌは鳥肌もの。会場の空気感が、もはや誰も彼女をstudentとは見なしていません。

 

 

 

■「大阪国際室内楽コンクール&フェスタ」のコンクール部門は、2つあります。

 

第1部門は弦楽四重奏。1stバイオリン・2ndバイオリン・ビオラ・チェロの編成によるカルテットです。

 

第2部門は、ピアノ三重奏/ピアノ四重奏、または管楽アンサンブルとなっています。ピアノ三重奏とは、ピアノ&バイオリン&チェロの編成を指します。ピアノ四重奏はピアノ&バイオリン&ビオラ&チェロです。

 

 

■そしてこの国際コンクールのユニークなところは、コンクールとは別にフェスタという部門をおいているところです。これは「2~6人の器楽演奏」という決まりがあるだけで、楽器の選択はまったくの自由です。年齢制限や課題曲もありません。

ですのでバイオリンとピアノとクラリネットの三重奏とか、打楽器アンサンブルとか、ピアノデュオ等さまざまな編成の団体がエントリーしています。

 

また伝統音楽・民族音楽を歓迎しており、見たことも聴いたこともないような楽器や演奏も登場します。極東という立地もあるのか、ロシアや東欧からのエントリーも多いです。この部門ではバラライカやドムラはメジャー楽器の範疇です。

 

フェスタ部門の順位は、公募による一般審査員の投票により決まります。このフェスタ部門のユニークさにより、「大阪国際室内楽コンクール&フェスタ」は世界でも類を見ない音楽祭となっています。

 

私は第4回から審査員に応募し、その後もちょくちょく客席で演奏を堪能させてもらってきました。見たこともない民族楽器の、それも本格的な演奏が聴けるのが、本当に楽しみでした。

プロ審査員ではない平民?の審査員は、時間の経過とともにだんだん飽きてきて、眠たくなります。そのため出場順が早い団体や、休憩直後の団体のほうが平民審査員たちはよく聴いており、評価が有利になる気がなんとなくしていました。主催サイドもそう感じたのか、投票の仕方は参加の都度、徐々に変わってゆきました。

 

 

 

■このコンクール&フェスタの主催は、「日本室内楽振興財団」というお方です。「室内楽に取り組む優秀な音楽家を世界に広く求め、優れた演奏を顕彰し、人材を育成する」財団なのだそうです。

 

そのお方が最近、「奏(SOU)」という広報誌を送ってきてくれるようになりました。最新号は vol.57 とか書いてあるので、以前からあったのでしょう。コロナちゃんに危機感を感じ、なんとかコヤツ(中川恵)にコンクール&フェスタへの興味を持続しといてもらわんと!とでも思ったに違いありません。

 

んで、この冊子が面白いのです。申込めば誰でも無料で送ってもらえるそうです。話が長くなりましたが、そのことが言いたくてブログで取り上げたのです。

 

今回の vol.57 の内容は特に良かったので、簡単に内容をご紹介したいと思います。

 

 

●打楽器集団「男群」に聞く!
 フェスタに何度か出場している打楽器アンサンブルのインタビュー。私も聴きましたよん。


 

●クラシック音楽とマンガ
 クラシック音楽を題材にした、今どきのお勧めマンガが紹介されています。

Bowing! ボウイング
自然のなかにある中学校を舞台に、中学生たちと大人が弦楽四重奏を組むことになるお話。

四月は君の嘘
神童だったピアニスト男子とバイオリニスト女子が出会い、デュオを組んで挫折を乗り越えてゆく話。

青のオーケストラ
こちらも天才肌の男子が主人公だけど、部活のオーケストラが舞台。高校のオーケストラ部を取材したそうです。

四月青のも中学3年生の設定。主人公が中学生ばっかりや~。これらの作者さんたちは中3がまだリアルに感じられる年齢で、あえて中3を選んだのだろうと思う。ファーストガンダムのアムロ・レイも15歳でした。

 

 


●室内楽奏者あるある
今回はピアノトリオ(ピアノ&バイオリン&チェロ)が取り上げられています。

 

●楽器工房探訪
ヤマハのグランドピアノ工場を訪ねています。

 

●世界の音楽  アンサンブル事情
フェスタに参加した和楽器カルテットが、記事になっています。

 

●音の出し方  似た者同士
西洋のクラリネット・日本の尺八・民族楽器など、息を吹き込む楽器同士を比べて考察しています。

 

 

●世界のコンクール:ウィグモアホール国際弦楽四重奏コンクール

ピアノやバイオリン、管楽器や歌など、ソリストを対象とした国際コンクールはいっぱいありますが、器楽合奏のコンクールは少ししかありません。それも弦楽四重奏が主で、それ以外の編成によるものは皆無と言ってもいいくらいです。「大阪国際室内楽コンクール&フェスタ」のフェスタ部門というのは、世界的に見てもすごいのです。

 

英国ウィグモアホールのコンクールは、当初バイオリンコンクールが想定されていました。ところが主催者がたまたまメニューインに相談したところ、メニューイン卿が弦楽四重奏のすばらしさを語りコンクールの重要性を説いたため、弦楽四重奏のコンクールになってしまったそうです。
知名度は「バンフ国際弦楽四重奏コンクール」「パオロ・ボルチアーニ国際弦楽四重奏コンクール」などの方が高いと思うのですが、ウィグモアホールの方が歴史が古く、先駆者なのです。

 

で、メニューイン卿はそればかりか、「大阪国際室内楽コンクール&フェスタ」が相談に行った際、(アジアの日本でするなら)伝統楽器や民族音楽も紹介しては?と助言し、フェスタ部門の創設につながったらしいです。

 

 

といったことが「奏」には載っています。どうです、面白いでしょう? コチラから申し込めますよ。

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