中川恵バイオリン・ビオラ教室

バイオリンと首の接点についてのヒント

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バイオリンと首の接点についてのヒント

バイオリンと首の接点についてのヒント

2023/10/17

バイオリンを構える姿勢にはいくつかポイントがありますが、首との接点は最も大切と言えるでしょう。ここが不自然だと体を痛めてしまうこともあります。

 


①首の側面と、バイオリンの側面

 

バイオリン側板にあるエンドピンの突起が、左鎖骨の端の上あたりにちょっと触れるくらいが、多くの人にとって安定する位置です。

 

その位置がわからない生徒さんには、突起を首の横に当てたり、突起を右鎖骨の上に当てたりして、どこが安定すると思うか尋ねます。どちらも安定しません。その両者の間のどこかに、安定する位置があることが理解できます。(体幹が悪いと、誤った位置を安定していると感じたりします。)

 

自分が樹の幹で、バイオリンは自分から生えている枝、という説明のしかたもします。

 

突起の中央にあるマスタード粒みたいな飾りが、当たって痛いことがあります。バイオリン工房へ持って行けば、テールピースを交換してくれます。自宅でニッパーでカットすることもできるでしょう。(自己責任で)

 

 

②左鎖骨と、バイオリン裏板の縁

 

左鎖骨の、体の中心側の端に、バイオリン裏板の縁の中央(エンドピンの下)がちょうど乗っかります。

 

肩当てはおよそ100年前、顎当てはおよそ200年前に登場しました。それ以前は肩当ても顎当てもなく弾いていたわけで、バイオリンは左鎖骨の上に乗せていました。

 

バイオリンのサイズ、「幅」「長さ」「高さ」は肩当てや顎当てが登場する前に固まりました。白人男性がバイオリンを構えたとき、左鎖骨から下顎までの距離がちょうど良いように、「高さ」が決まったはずです。

 

となれば、肩当てにより、バイオリン裏板の縁と左鎖骨が空いているのは、少しバイオリンの位置が上すぎる、と言えなくもありません。肩当ての高さは、バイオリン裏板の縁が左鎖骨に触れるかな?というくらいにしましょう。

 

顎当ての金具が、鎖骨に当たって痛いことがあります。ヒル型(二本に独立している)の金具だと痛くない、と言う先生がいましたが、人によると思います。私はヒル型の方がごつくて違和感があります。

 

 

③下顎(左ほほ)と、テールピース

 

①②がよい位置だと、下顎(左ほほ)は、顎当てとテールピースのあいだに来ます。顎当てのお皿がオーバーテールピース型ではないのに、下顎(左ほほ)がテールピースにかかっていないのは、頭部が左に寄っている、または顔の向きが左すぎると考えられます。

 

私は子供のころ、下顎(左ほほ)がテールピースにかかっているのが不思議でならなく、これでいいのかなーと思っていました。

 

体幹のいい人は、教えなくても、下顎(左ほほ)がテールピースにかかったところに来ます。「下顎(左ほほ)は、顎当てのお皿の上にあるもの」という意識下・無意識下にあると、頭部or顔の向きが左へ寄りすぎます。頚椎を痛めてバイオリンが弾けなくなるので、気をつけましょう。

 

テールピースの上にお皿が来る、オーバーテールピース型の顎当てもあります。このタイプの顎当ては、高さがあるため、女性や小柄な人には向きません。

 


④顔を、左前方に突き出さない

 

「顔が楽器を迎えに行く」「顔のセンターと体のセンターが合っていない」という言い方もよくします。楽器がこちらに来るようなイメージを持ちましょう。

 


⑤バイオリンは、水平というより、縦

 

「本を本棚に入れるように」という説明の仕方もよくします。実際にハードカバーの本を出してきて、生徒さんの首へ入れる真似をして、イメージしてもらいます。

 

※バイオリンを縦にすると、左肘が横へ出てしまうことがよくあります。バイオリンと左腕の傾きの関係は、「T」ではなく、「イ」です。生徒さん側から私の構えを見てもらうと、「イ」であることが分かります。

 

 

⑥左手を右肩に置いて、右手でバイオリンを持って、しっくりくる位置にはめる

 

こんな方法もあります。よく紹介されています。

 

 

⑦左肩を、前に出したり、上に上げたりしないこと

 

左肩がニュートラルな位置にないと、動きにくく、痛めやすく、運弓にも影響します。

 

演奏フォームを確立するときに左肩にクセがつき、それで何年も弾いてしまうと、直すのが難しくなります。しかし直すのに成功すると、生まれかわったように弾きやすくなります。

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