中川恵バイオリン・ビオラ教室

便利は不便

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便利は不便

便利は不便

2021/03/04

サイズを間違えて肩当てを買ったのに、ケロッとしていた保護者さんがおられました。私だったらめちゃくちゃ悔やむでしょう。いろんな性分の人がいるんやな、その性分も悪くないな、と思いました。

 

便利になったあとに待ち構えている不便が、ストレスです。ソレを維持管理するための労力と時間、ソレが壊れた時の不便さ。便利になって、忙しくなるケースもあります。

自分の意志で選択できないものもあるけど、仕組みがわからないもの、壊れたとき自分で治せないものは、できるだけ使わないでおこうと思います。

 

パソコン、スマホ。便利だけれど、故障には遭遇したくありません。機能テンコ盛りは、システムが複雑化するので、困ります。勝手にログインしてくれたり、個人情報が筒抜けになっていたり。 小さな業者さんだったら親切なことも、相手が見えない巨大企業がすると、「ユーザーを支配しようとしてる」と感じます。Windows10の強制自動アップデート。削除できないヘルスケア。

 

ネットワークもシステムも、複雑な経緯を経ていると、あちこちほころびがあります。A社とB社がくっついて、C社を買収して、D社も加わった、みたいなインフラは、できるだけ選びません。金融機関も同様です。ATMも止まります。原因不明で。病院も。自治体も。複雑すぎるものは怖いです。

 

テレビのリモコンが登場したとき、こんなもん要らんやろ~と思いましたが、案外便利。でも置き場所を考えたり作ったり、ほこりが溜まったら掃除したり。やることが日々毎回同じではないのは、イラッときます。行方不明のときは、テレビ本体に何故スイッチが無いのかと呪います。

 

浴槽・洗面ボウルの栓が、ゴムでなく、遠隔操作になっているもの。

 

なんと京田辺から越してきた今の家には、食洗機がビルトインされています。開かずの引き出しです。節水効果をうたうなら、製造に使われる膨大な水も計算に入れてほしい。
手洗いも、お皿を拭いてから桶に並べたら、水は少しですみます。じゃーじゃー流しながら洗う水量と、比べているのでは。

 

建物の上に降った雨は、雨樋で集められ、下水に流されます。たいして汚い水でもないのに、遠路はるばる運ばれてゆきます。雨樋というものが登場する以前、雨は外周にこぼれおちて、地面に染み込んでいました。水が落ちる所は、泥がはねないよう砂利を敷いたりして、知恵で対策していました。
今私たちは、雨を取り除いて乾いた土壌の植栽に、労力と時間と水代を使って水やりをします。集中豪雨があれば都市の下水に大量の水が流れ込み、マンホールから水があふれます。

 

雨どいはプラスチック。スーパーのレジ袋なん枚分でしょうか? 

 

 

会社勤めで枚方市に住んでいたころ、いつも思っていました。
どうしてみんなで全速力で走らなあかんの?
上司も先輩も、隣の課の課長もみんな全速力で走るので、私も全速力で走らなくちゃならない。

 

同期や後輩で辞めていく人が時折いました。スピードについていけない。退職の挨拶でそう語った人もいました。なにも語らなくても、顔を見たら、似たようなことを感じているのは分かりました。そしてみんな、ついていけない自分が悪いのか?  と傷ついていました。

 

 

東畑開人「居るのはつらいよ -ケアとセラピーの覚書-」という本から。

 

人類学者レヴィ・ストロース「野生の思考」では、原始的な部族社会を「冷たい社会」、私達のような社会を「熱い社会」と定義しています。
「熱い社会」は、進歩・発展・変わることを良しとする。
子は父を超えないといけないし、経済は成長しないといけないし、オリンピックの記録は伸び続けないといけない。
「冷たい社会」は、発展しそうになると、自らその芽を摘み取り、同じままでいようとするのだそうです。

 

でも、私たちの中にも、私たちの社会にも「冷たい」部分はあります。
息子は父を越えよ。前年度の収益より増やすように。前回のレッスンより上手に弾くように。と迫られたら、ちょっと待ってよーしんどいよー って感じるかもしれません。

 

 

もし、ひとつだけ法律をいじれるとしたら、都市計画法を変えてみたい。高層ビルは、50年後も機能を維持しようと思ったら、建設費の3倍のメンテナンス費用が要ると、危険学が専門の教授の本にありました。建物は高くなればなるほど、維持するのが難しくなります。自明の理です。

 

密集したり、高いところに住むのは、生体として不自然。体や心に悪い。という考え方は「冷たい」思想でしょうか。私たちが高層ビルを建ててきた「熱い」動機は、”もうかる””かっこいい” ってところでしょうか。

 

「熱い」思いも、生物として自然なこと。ですが、ちょっと行き過ぎた感があります。もっと建物は平たくして、うす~くひろ~く住みたいです。鳥たちの営巣も半径○mに1組、野生動物も半径○kmにひとつの群れ、などと言います。

 

住居は、子供1人につき、1m2 土の部分を必須とする。
固定資産税は非課税。
そんな法律はどうでしょうか?

 

うすくひろく住めば、伝染病も伝搬しにくくなります。なぜ「皆さん、うすくひろく住みましょう」と政府は言わないのでしょう? 産業界が儲からなくなる→政治家にお金が入らなくなる。

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