中川恵バイオリン・ビオラ教室

子供用のブリッジ型 肩当て

お問い合わせはこちら

子供用のブリッジ型 肩当て

子供用のブリッジ型 肩当て

2022/08/08

2023年現在、1/4~3/4バイオリンの肩当てには、HAYATEスタンダード をお勧めしています。

 

 

バイオリンの肩当てを「する」「しない」には、いろんな意見があります。肩当ては楽器の保持を助けてくれる反面、存在に違和感があります。体の動きを邪魔している、と感じることもあります。

 

生徒さんのなかには肩当てを使わない方も複数おられます。スポットで曲を見てもらいにお越しになる大人の生徒さんは、フォームを意識して見ていないのでわかりませんが、定期的にいらっしゃる生徒さんの演奏フォームはしんどそうだなと感じます。しかし肩当てをしたくない気持ちもよくわかります。

 

子供は大人以上に、肩当てをイヤがる傾向にあります。とくに幼い子供は、物理的に、バイオリンと胸のあいだに肩当てが入りません。隙間が空いたままではグラグラするので、自作できる「ハンドタオル肩当て」や、市販のパッド型で合いそうなものを探します。
ブリッジ型の肩当てを無理に使わせると、変な演奏フォームになりかねません。そういう子供たちもたくさん見てきました。

 


私も肩当ては好きではないので、肩当てなしの弾き方を考えたり、パッド型を検討してみたことはあります。肩当ては、その機能性が低ければ低いほど、体の不自由感がありません。しかし肩当てなしより肩当てありのほうが、パッド型よりブリッジ型のほうが、技巧的な弾き方ができます。

 

「肩当てはあった方がいい」「パッド型よりブリッジ型」というのが今の結論です。ブリッジ型の利点と難点を天秤にかけたら、利点が勝ります。実際にバイオリン/ビオラの演奏家でブリッジ型肩当てを使っていないプレイヤーは、極めて少数です。

 


人間サイドのエネルギーが強ければ、道具自体の違和感は相対的に減ります。バイオリン本体や肩当てがしっくりこないという方は、人間側のエネルギーを上げることも取り組んでみられるといいと思います。

肩当てを受け入れられない体は、「感受性が高い」とも言えるし、「エネルギーが弱い」とも言えます。バイオリンの上達には「感受性の高さ」と「エネルギーの高さ」がいります。

 

ブリッジ型の違和感に我慢ができなくなる時があるなら、複数のブリッジ型とパッド型を持っておいて、イラッと来たら違うものに変える作戦もお勧めです。私が体調が悪かったときに、やっていたことです。

 

子供は成長につれエネルギーが上がってくるので、徐々にブリッジ型の肩当てが付けれるようになります。小さな分数バイオリンでは、バイオリンに比べて肩当ての質量が大きいですが、サイズアップにつれて比重が下がるので、肩当てなし→パッド型→ブリッジ型と付けれる子供が増えていきます。

 

子供用のブリッジ型 肩当て。上から MUCO、MACH ONE、ARTINO

 

 

●KUN
いちばん巷に出回っている、手に入れやすいのはKUNです。幼くても、ブリッジ型肩当てが使える子供さんもいます。

 

子供用はたいてい本体と足は小さく作っていますが、脚の部品が大人用と同じものなため、小さな子供には高さがありすぎます。しかし実際に使ってみないと、どの肩当てが合うのか、本人も先生もわかりません。KUNが手に入った(=販売店さんが付けてくれた)のであれば、KUNから始めてみましょう。セットバイオリンに肩当てが付いていなくても、何か1つはブリッジ型の肩当てを買ってみましょう。

 


●KUNもどき
KUNに良く似た後発メーカーの肩当てもあります。

 

バイオリンの付属品は市場が小さく、メーカーやブランドが大きく入れ替わることはありませんでした。使用者からすると、現行の肩当てに不満があっても、代わり映えのしない選択肢から選ぶしかありません。

 

しかし近年プラスチックの成型コスト低下にともない、格安プラスチック肩当てが徐々に増えてきました。KUNはプラスチック成型でシェアも高いので、マークされやすい運命にあります。

 

木製のものやWOLFの肩当ては、職人による手作業の比率が高いので、同じ品質でパクられる心配はありません。しかし元々プラスチックに比べると割高で、後発の格安品とはかなり値差があります。

 

 

ある大人の生徒さんが持ってきた肩当てが、あまりにビバラムジカに似ていたので、「これは先行メーカーの肩当てをパクって、後発メーカーが安く作ったものです」「先行メーカー品は高いですが、品質はこれよりいいです。これも値段なりのよい買い物だったと思いますよ。」とお伝えしたら、

 

ジェネリックですね!

 

と。
ナイスな表現です。
販売店さんがセットバイオリンに付けてくれたそうです。

 

ただジェネリック医薬品と違って法的保護はないので、先行メーカーはなんの規制もなくパクられまくりです。品質面で追いついている肩当ては見当たりませんが。

 

 

KUNは近々大幅に値上がりするようです。販売店がセットバイオリンにつける肩当ても、KUNからジェネリックへ替わっていくかもしれません。

 

 

●MUCO

以前からパッド型の肩当てを出している台湾メーカー。最近ブリッジ型が出てきて、木製の大人用があちこちで売られています。

 

子供用のプラスチック成型もあって、私の知るかぎり「高さ」が最も期待通りになる肩当てです。本体と足はKUNをはじめとする先行メーカー品に似た形状ですが、脚のところが低めに調整できます。安い反面、壊れやすいようです。


現在 単品で購入するルートは基本的に無くて、セットバイオリンの付属に付けられているのみだそうです。ネットショップで買えるところもありますが、在庫が限られています。

 


●センパープリムス(SEMPER PRIMUS)
これも高さの低いブリッジ型肩当てです。made in JAPAN。しかしだいぶ前に製造中止になり、流通在庫もほぼありません。半年前に京都三条寺町の十字屋さん店頭で 1/4 を見かけました。


体調が悪く 高さの低い肩当てを好んで使っていた時期、センパープリムスが気に入っていました。分数バイオリン向けもあること、製造中止になったことを知り、ネットショップや実店舗を回って、貸出用の 1/8  1/4  1/2  3/4 を揃えました。

 

この肩当ての難点は、肩当てが自立?してバイオリンにひっつく?ことができず、輪ゴムで固定するため、はずれやすいことです。そのため二重三重に輪ゴムをし、さらに顎で強く挟み過ぎないよう気をつけなければなりません。また高さや幅の調節ができず、分数バイオリン2サイズで兼用することができません。

 

センパープリムス 4/4  3/4  1/2  1/4  1/8

 

 

ほかにも子供用のブリッジ型肩当てはありますが、小さな分数バイオリンにお勧めできる「高さ」のものはありません。MUCOと一緒に MACH ONE と ARTINO という子供用肩当ての写真を載せましたが、これらは高さがあるので使えていません。

 

ビバラムジカ(Viva La Musica)というメーカーのダイヤモンド(DIAMOND)は低めの肩当てですが、子供用も脚のパーツが同じなため、分数バイオリンに合わせたときゴツくなり低いとは言えません。なぜか 3/4~4/4 兼用(3/4~1/2兼用が多い)なので、3/4にサイズアップしたときに肩当てを買う必要があれば、選んでみてもいいと思います。


またウルフ(WOLF)というメーカーのラインナップにも低いものがありますが、これもダイヤモンドと同様です。ビバラムジカやウルフは、重量もすこし重めです。


ペディ(Pedi)も低いのですが、これは子供用はないようです。ちなみに私はビオラの肩当てに Pedi を使っています。カーボン製で値段が高く、脚と足の接点にガタが来やすいですが、軽くて音響もいいです。

当店でご利用いただける電子決済のご案内

下記よりお選びいただけます。