始める年齢って、大事ですか?
2020/09/02
始める「年齢」って、大事でしょうか? 大人になってから始める生徒さんの多くが、残念がります。子供のころからやっていれば、って。
結論から言えば、「年齢」はあまり大切な要素ではありません。プロを目指すのでなければ。
アマオケに行くと、いろんな経歴の方がおられます。音大を出ている人もいるし、仕事をリタイヤしてから楽器を始めた方もいます。
さすがに60歳過ぎてのスタートで、子供のころから弾いてきた人に追いつくのは無理でしょう。しかし、中学/高校の器楽部からのスタートで、幼稚園から習っているより上手な方は幾人も見かけました。中学/高校で始めた方より上手な、大人のレイトスターターさんもいました。
1986~1999年に関西の大学オケ有志で結成・運営されていた「ザ・シンフォニー・ユース・オーケストラ」は、各大学から腕に自信のある強者が集まりました。幼稚園や小学生からバイオリンを始めている学生もいる中で、大学1年から始めたのに、オーディションでコンマス席を射止めた人もいます。
では「才能」でしょうか?
それも一番大事な要素ではありません。
そもそも音楽の「才能」って何でしょう?
①音楽への感受性が高いこと。音楽の美しさを繊細に感じとれること。
②音の高さがわかること、リズムが取れること
③身体が楽器をじょうずに操れること。
①はバイオリンがやりたい!と思う全ての人に備わっています。備わっているからバイオリンがやりたいと思うのです。
私はまだまだバイオリン・ビオラが上手になりたいですが、「ああ、もっと才能があったらいいのに」と嘆こうとは思いません。嘆くとしたら「ああ、もっと身体が動いたらいいのに」です。③です。
③は「身体」「臓器」の問題です。
でも②も、脳という「臓器」の問題です。
「年齢」でもない、「才能」でもない。
では、なにを『持って』いれば上手くなるのでしょうか? それは
第1位 やる気
第2位 持続力(やり方)
第3位 身体能力(⊃才能)
です。バイオリン教室には、5歳から70歳代まで様々な年代の生徒さんがいらっしゃいますが、どの世代でも共通です。
第3位の身体能力、年齢が若い方が高いでしょう?と思われるかもしれませんが、意外とそうではありません。
これまで教えたなかで一番、バイオリンを構えたフォームに「才能」があったのは、60歳を過ぎた女性でした。 ”こんな感じですか?” と言いながら構えた姿勢に、治すところはありませんでした。弾きだすと崩れてくるので、安定させるための練習のやり方を教えました。
ところがその方は、「持続力」がありませんでした。2回目のレッスンに来たとき、ふりだしに戻っていました。3回目もそうでした。
弓をもつ指の関節の角度を、1回の説明で ”腑に落ちた” と言ったのは、60代の男性でした。年齢的なものもあり多少ぎこちなくはありましたが、その形で弓を引くことができました。子供時代にたくさん身体を動かしたからでしょうか。
身体能力が高くなくても、「やる気」と「持続力」のある生徒さんはじりじりと上達していきます。大人の初心者さんでも、アンサンブルレッスンへの参加レベルに達した方が、何人もおられます。