アジャスター付きテールピースへの交換
2020/10/28
バイオリンの調弦をペグでするのが難しい生徒には、「アジャスター付きテールピース」を必ず付けてもらいます。「アジャスター付きテールピース」とは、テールピースとアジャスターがプラスチックの一体成型となっている、フィッティングパーツです。
♫肩当てなどの、バイオリン(や弓)にくっついていない道具は「付属品」と呼びますが、顎当てなどくっついている道具はフィッティング or フィッティングパーツと呼びます。
最近のアウトフィットの分数バイオリンには、「アジャスター付きテールピース」がほぼ付いています。しかし昔は付いてなかったので、中古の分数バイオリンには付いていないことがあります。またアウトフィットでも、大人向けのフルサイズは付いていないことがあります。
♫アウトフィットとは、本体と弓とケースがセットになったもの。セットバイオリンとも言います。
「アジャスター付きテールピース」への交換は、基本的にバイオリン工房でやってもらう作業ですが、自分で行うこともできます。
♪弦の交換に慣れている。
「2020.09.08 バイオリン・ビオラ 弦の交換方法」 の内容は十分わかっている。
♪駒の調整ができる。
駒の傾きや位置がずれたとき、気がついて直せる。
「2020.10.11 バイオリン・ビオラ 駒の調整」
♪顎当ての取り外し、取り付けができる。
「2020.10.26 顎当ての交換 や 高さ調節」
以上の作業ができる場合のみ、自己責任で行ってください。交換後は、毛替えのときバイオリン工房で点検してもらいましょう。
テールピースを交換すると、駒からテールピースまでの弦の長さが微妙に変わります。弦の長さや、テールピースが変わったことで、音色や音量が変化する場合があります。
思った以上に難しいので、工作に自信がないかたは止めておきましょう。
ここに掲載している写真は、1/4サイズの分数バイオリンです。
(1)交換するテールピースをはずす
①顎当てを外す
顎当ての脚が2本ともテールピースの左側にある場合は、外さなくてもテールピースは交換できますが、外した方が作業はしやすいでしょう。
②ペグをゆるめて、弦をテールピースから外す
駒が倒れます。
③テールガットをエンドピンから外す
テールガットを外すと、エンドピンがゆるんで動くようになります。エンドピンがどこかへ転がっていったり、元の位置へ収まらなかったりしないよう、十分に注意してください。
■アジャスター付テールピースをつける
①アジャスター付テールピース の テールガットを張る
箱の裏面の図も参考に。
②テールガットをエンドピンにはめ、テールピースを楽器の表板にそわせて、テールガットの長さを決める
テールガットは硬いので、指で何度も押して折りクセをつけながらやりましょう。
油断するとエンドピンが飛んで行ったり、顎当て(を付けたままだと)に強く当たったりします。周辺のパーツを傷めないよう、気を付けてください。
テールガットは時間がたつと伸びてきます。たわみが真っすぐになった状態を想定して、長さを決めてください。
長さが決まったら、テールピース裏面の左右のバランスを整えます。
③テールピースに、ADGEの順で弦を張る
爪楊枝などがあると便利でしょう。
アジャスター付テールピースのE線は、ボールエンドに対応した形状です。
ループエンドでも張れますが、テールピースへの負荷を鑑み、早めにボールエンドへ交換しましょう。
④ナット(上駒)の溝に4弦がはまっているか確認し、弦の下に寝かせた駒を入れ、駒の溝に弦をはめながら立てる
⑤テールピースと顎当てが触れていないか確認する
触れている場合は、顎当ての位置を調整します。または顎当ての底面を削ります。
顎当ての位置調整がうまくいかない場合は、専門の楽器店・バイオリン工房・バイオリン教室の先生などに見てもらってください。