中川恵バイオリン・ビオラ教室
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家での練習 マストアイテムとその使い方

家での練習 マストアイテムとその使い方

2020/06/23

楽器と楽譜があればバイオリン・ビオラは始められます。
しかし練習を有意義なものにするには、あったほうがよいアイテム(道具)があります。
節約したつもりが、上達のスピードという点で、損をしているかもしれません。
同じ時間をかけるなら、道具をじょうずに活用して、中身の濃い練習をしましょう。

(1)チューナー

バイオリン・ビオラという楽器は、左指をおく位置で「音程」を決めなければなりません。
おく位置が1mm違うだけで、音程が良くも悪くもなります。開放弦が正確でないと、全ての音程に影響します。音感も育ちにくく、左手のフォームも整えにくくなります。

チューナーの選び方や使い方は、こちらの記事を参考にしてください。

2020.04.30 バイオリン・ビオラの調弦方法

(2)メトロノーム

電池で動く電子メトロノームと、ネジを巻いて使うアナログのメトロノームがあります。

家で使うには、アナログの大きめのものが一番お勧めです。行きと帰りが微妙に違ったり、だんだん遅くなったり、電子チューナーと違って カンペキに一定のリズムではないゆらぎがいいのです。音は、音楽は、カンペキに一定のものではありませんから。
アナログで持ち運びできる小型タイプ(上の写真)もありますが、機構上大型のものより刻みが不安定です。

電子タイプは、チューナーと一体になっているKORGやYAMAHAのものを買うと、道具がひとつで済みます。
楽器ケースに入ってほしいか、入らなくて構わないか、も大事です。四角形のケースであればどこかに入りますが、三角型には入りにくいです。(三角でも SuperLight なら入るでしょう。)
チューナー・メトロノームいずれも スマホのアプリでありますが、積極的にはお勧めしません。

メトロノームを使った練習の事例を、3つ挙げますね。
使うときのコツですが、メトロノームに合わせるのではなく、メトロノームが自分に合わせているように感じることです。

①基礎練習にて

ロングトーンの基礎練習をするとき、弓に等間隔で印をつけて、メトロノームの拍と合うようにします。
弓を引く速度が一定になっているか、チェックするためです。
両端でスピードが落ちますので、端に近づいたとき速度を上げて、一番速い状態で折り返します。
弓のまんなかは 速さを少しゆるめる感じに。
速度を一定にすることができれば、それを基準にして、速くしたり遅くしたりできます。

折り返すとき、弦と弓の角度が直角になっていないと、速いスピードのままターンできません。直角を体得するのが先です。

テンポ60でやると、楽譜に書かれた速度の数字に対する感覚が育ちます。
54であれば ”60よりちょっと遅めだな” とか、112だと ”60の中に2拍入れたらいいんだな” とか。
テンポ60感覚を育てるいちばん手っ取り早い方法は、時計の秒針を見ながら弾くことです。
メトロームと違って、止めるという作業がいりません。
時計から視線をはずせばいいだけです。

②独奏曲、1stVnパート

メロディラインを歌うように弾く練習にも、メトロノームは役立ちます。
メロディラインは、拍感ぴったりではありません。粘ったり伸びたり、拍に追いついたり、しているのが自然です。歌謡曲や演歌を聴いてみましょう。
しかし伸びっぱなしでは「ただずっと遅れているだけ」になってしまいます。ナチュラルな伸び縮み、伸びかたのゆらぎの練習を、メトロノームでしましょう。カチカチの音をベースかドラムのビート音だと思って、4小節単位とか8小節単位とか 大きなくくりの中で辻褄が合うように伸び縮みさせながら弾く練習をします。

最近テレビで 松田聖子さんのアンニュイな「スイートメモリー」を聴きましたが、ほぼすべての打点がベースラインより後ろでした。そこまで引っ張るかー! というほど拍より後ろにずれていましたが、加減の巧みさに舌をまきました。とっても素敵でした。

③オケや室内楽の曲にて

2分音符を伸ばしてたのに 突然8分音符になったり、それが3連符になったりと変化したとき、テンポ感がわからなくなります。
自分では同じテンポで弾いていると思っていても、弾けていないことがあります。
メトロノームでトレーニングした経験がなければ、弾けてないと思った方がよいでしょう。
”うちのメトロノーム壊れてるんだ” という迷言をはいた方がおられますが、そんなことはありません。

(3)譜面台

譜面台を買わずに、窓枠に置いたり、ピアノの譜面立てに置いたり、楽器ケースの中に立てたりしていないでしょうか?
それでは、譜面との距離や高さがベストにできません。
「見る」「読む」という行為は、脳に負担をかけます。
楽譜が読みにくいと、それだけ脳みその処理能力をたくさん使うことになります。
そうなると、「左指を動かす」「弓を動かす」という行為に使える割合が減ります。

レッスンでは、家での練習に鏡を使うことをお勧めし、それぞれの生徒さんに合った具体的なやり方を考案します。
鏡はたいてい壁面の決まった場所にあります。それを上手に使おうと思ったら、自分や譜面の向きを鏡に合わせなければなりません。そのためにも譜面台は必要です。

(4)鏡

鏡は必要不可欠なアイテムではありませんが、鏡なしで練習するのと、鏡をうまく使って練習するのでは、上達の度合いがかなり違ってきます。
同じ時間・お金・エネルギーをかけるなら、より少ない時間で上達したいものです。

①無意識の使い方

鏡に映った自分の姿を見ながら練習するだけで、弾きやすくなることがあります。先生の目線で言うと、明らかにフォームが良くなります。
あまり変化のない場合もありますが、良くなる生徒さんは枚挙にいとまがなく、悪くなる生徒さんは今のところゼロです。

2021年春のコロナ休みから復帰された生徒さん、大人の女性ですが、演奏フォームが安定して良くなっていました。良い練習が出来ていたんですね、どんなことをしていたのですか? と尋ねたら、ずっと鏡に向かって弾いていたそうです。

②意識した使い方

それらしく出来ているか。
さまになっているか。
という目線で、自分の姿を見ましょう。
それは全体に対してでもいいし、部分でもいいです。

鏡があると、鏡の中の客体を、自分が主体として見ることができます。
客体であれば、いつもの先生の姿、テレビで見るバイオリン奏者の姿のように、見たらよいのです。

自分が、バイオリニストの役をもらった俳優だと思ってみるのも、手です。
ハリウッド女優のメリル・ストリープが バイオリン講師を演じた「ミュージック・オブ・ハート」という映画があります。メリルの身体の動かし方は、特徴をよく捉えていました。

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部分を見るのも効果的です。
左手首は、自分の眼でダイレクトに見ることができないため、もっとも効果があります。
弓を引くときの手首の回転、両肩の位置、などもお勧めです。
自分の弾き方は、さまになっているでしょうか?

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弓が弦をこすっているところは、ダイレクトに見たくなる場所です。
見ると、弓の毛が そこに居やすくなります。
しかし「ガン見」してしまうと、眼の焦点が至近距離に固定され、周辺や全身の筋肉へ悪影響があります。
「チラ見」か「ボーっと見」にしてください。

また、弓の接触点がずれる課題を「ガン見」で解決すると、視線をはずしたとたん、出来ていたことが出来なくなります。
鏡に映った弓の接触点を見ましょう。その方がずっといいです。
そして身体感覚(3D感覚)でおぼえましょう。
「見る」ことは、使い方により、妨げにもなれば手助けにもなります。

③弦と弓の交差角度

弓の重さや速さを適宜変えられるコントロール力はあるが、うまく引っ掻けるときと、うまく引っ掻けないときがあって、その両者の違いがわからない。
そんな場合は、鏡を使って弦と弓の交差角度をチェックしてみましょう。

うまく引っ掻けない箇所で弓を止めます。
弦と弓の角度を変えないようにして、自分の姿が鏡に映る角度を変え、直角かどうかを確認します。
鏡に映すのは、1方向ではなく、多方向から見てください。

弦と弓の角度を変えないように動くには、体幹(3D感覚)が必要です。
体幹がないと、身体の向きを変えているあいだに、交差角度が変わってしまいます。

(5)椅子

座ると、立って弾いていたときとは また別の身体感覚になります。立って弾く練習、座って弾く練習、両方やるとベターです。レッスンでは跪座(きざ)の姿勢もやります。

椅子は、座面が少し高めで、浅く腰かけられるものがいいです。
腰かけた姿勢では、尾骨が足裏の代わりになります。
尾骨からスクッと頭頂部まで立っているイメージです。
脚は付録と思いましょう。脚のどこかに不要な力が入っていると、尾骨から上の身体を邪魔します。
また現代人は、骨盤が後ろへ倒れすぎていることが多いです。人によって度合いが違いますが、少し前へ起こして上体をゆらゆらさせよい場所をさぐってみましょう。座高が一番高くなるところが目安です。

立ったり座ったりしながら弾く練習も、有効です。立ち上がり方、座り方は、アレクサンダー・テクニークから取り入れています。これが出来るようになると 弾くときの身体の自由度が増します。
歩いたり、片足づつ床から離したり、左右に傾けたりねじったり、レッスンでは身体を動かしながら弾く練習を色々とやります。

(6)ミュート、弱音器

家族や隣人にたいして 気をつかいながら練習しているなら、ミュートを使いましょう。
ミュートは、音質が少し変わってしまい、楽器の振動(※) を押さえつけることにもなります。
しかし、気兼ねなく練習できるメリットの方が大きいでしょう。

(※) 木でできているバイオリン・ビオラなどの楽器は、振動を与えるほど良く鳴るようになります。楽器に振動を与える機械、エイジングマシンもあるほどです。

大きく分けて、ゴム製のものと、金属製のものがあります。ゴム製は消音力は高くありませんが、音質があまり変わりません。金属製は音質は良くないのですが、音量はかなり小さくなります。
夜遅くにしか練習できない場合などは、金属製の出番です。金属製で最初に登場したのは、駒の上に置くタイプですが、その後駒から落ちないようネジ止めできるタイプなどが出てきました。

20年くらい前から販売されているタイプのものなら、ネットで買うなどしても大丈夫でしょう。
目新しいものは、実物を試してから買う方がいいです。

マグネットをゴムでくるんだ、駒をつつむようにして装着するミュートがあります。弦と弓の接点が見える、分数(1/2くらい)からビオラまで兼用できる、などの利点がありますが、見た目めのわりに音は小さくならず、お勧めしません。

(7)弦と弓を直角にたもつ道具

役に立ちません。
弓が道具にぶつかって強制的にまっすぐにさせられるだけなので、まっすぐ弾ける身体感覚は育ちません。
おうちでの練習に使っていた子がいましたが、効果ありませんでした。
先生の客観的な目線の元、レッスンで使うなら、活用の仕方があるかもしれません。

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