子供に分数バイオリンを買うときは
2021/08/13
♫ バイオリン専門の実店舗で買いましょう
楽器のネット販売が好調なようです。
しかし、バイオリン・ビオラ・チェロは実店舗で買ったほうがいいです。
子供のために分数バイオリンを買おうとして、ネットショップで大人用を買ってしまった方がおられました。
その方はバイオリン教室にお越しになるまで、自分がフルサイズのバイオリンを買ってしまったことに、気づいていませんでした。
バイオリン専門店でない場合、楽器が沢山陳列されていても、店員さんにバイオリンの知識が全くないお店もあります。
そうした楽器店で、合わない分数サイズを買ってしまう方もおられます。
ひどいコンディションのバイオリンが置いてあるのを、見かけたこともあります。
大人の初心者で最近習い始めたTさん、今日で3回目のレッスンでしたが、レッスンは「楽器の取り扱い」についての質問から始まりました。
・弓をしまうときの、ゆるめ方がわからない
・弾くときの、弓の張りぐあいがわからない
・松脂は毎回塗るのか?
・どれくらい塗ったらいいのか
・チューナーの使い方がわからない
買ったばかりのチューナーの扱い方以外は、説明済みです。しかしバイオリンは知らなければならないことが多いので、1回の説明では憶えきれないのです。しかもまだ、バイオリンの取り扱いについて、お話ししていないこともあります。優先度の高いことから確実に憶えてもらうため、説明は小出しにするからです。
「楽器の取り扱い」から「調弦方法」まで、基本的なことを全て説明し終えるには、myバイオリンを持ってくるようになってから、数週間~数カ月かかります。
バイオリンは「バイオリン・ビオラ・チェロ専門の楽器店」で買いましょう。そうすれば分からないことがあったとき、電話するなり、行くなりして、教えてもらうこともできます。
実店舗が生活圏内に無いばあい、実店舗のあるネットショップだと少し安心です。
10年も20年も前から開いているネットショップも、少し安心です。
また定評のあるメーカーの新作なら、どの流通ルートで買っても少し安心です。
実店舗がなく、openしてから年数が浅いネットショップで、中古品や、聞いたことのないメーカー品を買うのは、リスクが高いと考えましょう。
リスクとは、悪いという意味ではなく、当たりハズレの幅が広いという意味の単語です。だから当たることもあります。
♫ 子供に分数バイオリンを買うとき
本人がバイオリンに触ることなく保護者さんが買ってしまうのは、とてももったいないことです。
楽器店に足を運んで、陳列されているバイオリンを目にし、手に取って触って比べてみるのは、やる気を起こさせる絶好の機会だからです。
中高生以上・大人になると、本人の意欲に基づいてバイオリンを習います。しかし年齢が幼ければ幼いほど、いろいろなものに広く浅く興味を感じるように、私たちはなっています。ひとつの習い事に集中させるには、作戦がいります。
バイオリンを始めるには3歳か4歳から。分数バイオリンを買い与えて、レッスンに連れていけば、弾いてくれるだろう。そんな思惑にすんなりはまってくれる子は、なかなかいません。
バイオリンは、身体が動かなければ弾けません。ピアノも同じです。まず外遊びをしっかりさせて、生命エネルギーが停滞しない身体作りをしましょう。
脳みそも、体のなかの臓器のひとつです。音楽の能力、音感やリズム感を育てたかったら、身体作りから。
勉強のできる子になって欲しかったら、キッズ英語や公文もいいですが、その前に外遊びです。リトミックより外遊びの方が、低予算で、よりよい結果が得られます。
五感から入ってくる刺激を処理して、随意筋肉の動きとして出力する。これを繰り返すほど、その営みが多様なほど、体がよく動くようになります。食品添加物や電磁波、香料や体の洗浄剤など、身体の成長や動きを阻害するものも避けましょう。
2020/08/01 身体を楽にする引き算をしよう (1)口から入るもの
♫ 大きくを体を動かす → バランスを取る → 細部を動かす
という順に、体は動かせるようになってゆきます。
バイオリンを弾くには、指という細部を動かす必要があり、パターン化した限定された固定的な動作をしなければなりません。「大きく動かす」「バランスを取る」が未発達な段階で、細部の動きを無理強いすることは、体の成長にとって害になることもあります。
シュタイナー教育では、器楽演奏やスポーツなどの動きは、幼児の骨格から大人の骨格へ移行しおわる9歳ごろまでは控えるように、と言われているほどです。
楽器をさせることで細部を動かす、という逆の考え方もあるます。そのばあいは、楽器ばかりさせるのではなく、細部を動かすいろんな活動のひとつと考えると、偏らないでしょう。
しかしリトミックvs外遊びと同様、生活や遊びにおける動きのほうが、質の高い身体作りができます。散らかったおもちゃを種類ごとに箱にしまう、クレヨンを色順に並べる。タオルをたたむ、買い物カゴの品を重たい順に買い物袋に入れる、等。
♫ 分数バイオリンは、子供に選ばせる
①本人を実店舗へ連れていく
②本人に触らせる(弾かせる)
③本人に選ばせる
④本人にレジまで持っていかせ、本人に持って帰らせる
初めてのバイオリン、小さな子であれば、楽器ではなくオモチャで終わってしまう可能性もあります。
「これを買ったらシッカリ練習せなあかんねんで」ということを、子供に肌で感じてもらわねばなりません。
候補の楽器店へ電話して、子供の体格にあう分数バイオリンを、予算内で複数台用意してもらえるか聞いてみましょう。ワンサイズ違うだけで、当人の感じるバイオリンの弾き心地はかなり違ってきます。年齢と学年、身長や体格など、お店の方へは詳しく伝えましょう。
2~3台用意してもらい、本人に弾かせ、選ばせます。愛着や意欲を持ってもらうための作戦です。買いかえ前のバイオリンを持っていって弾き比べてもいいでしょう。楽器のサイズが大きくなると、それだけで鳴りが良くなります。いま持ってるバイオリンよりいいものを買ってもらえる!と、子供に感じてもらいましょう。
値段がわからない状態で比べられるよう、事前に頼んでおきましょう。予算オーバーになると困るばあいは、金額をあいまいにせず、上限の値段をはっきり伝えましょう。よかれと思って1ランク上の楽器が出てくることもあるからです。
専門店であればあるほど、安いバイオリンは用意してもらえないか、用意してもらえたとしても1台です。もし予算を伝えて、相手の反応が悪いばあいは、ほかの楽器店に問い合わせてみましょう。
お店の規模も関係します。小さな楽器店では、特定サイズの安価なバイオリンを複数台用意するのは、難しいです。
普段安価なバイオリンは扱っていない専門店でも、タイミングよく下取りした中古楽器が在ることもあります。ダメもとで聞いてみましょう。
♫ 分数バイオリンの選ぶサイズは、とても大事
身長と分数バイオリンのサイズの対比表がありますが、あまり当てになりません。対比表の多くは、子供たちの体格が今よりガッシリしていた時代のものです。また身長が同じでも体格/腕の長さ/器用さは1人1人違います。メーカーによっても大きさは微妙に違います。
ちなみに、私はクラスでいつも2~3番目に小さい子だったのに、4歳5カ月で1/4を持たされました。今にして思えば虐待!?と思うほどの大きなサイズです。今の子だったら 2サイズ下の1/10でしょう。
バイオリン教室の先生のものをお借りしたので、おそらく1/4からしか無かったのだろうと思います。何の疑問も持たずに弾いていましたが、一体どうやって構えていたのか、腕の長さなどを考えると本当に不思議です。
通常、洋服などと同様 買いかえる数が少なくてすむよう、少し大きめの分数バイオリンを買います。しかしこれも個人差があり、少々大きくても気にしない子がいるかと思えば、小さめのバイオリンでないと弾きにくいと訴える子もいます。
♫ 教本や付属品も、実店舗で本人の手に持たせ
て、レジへ持ってゆかせましょう。
せっかく分数バイオリンを買ったのに、レッスンに通わせているのに、今ひとつ身が入っていない。という場合、かわいい表紙の教本を1冊買うとか、調子笛・譜面台を買うなどすると、気持ちがアップすることもあります。ケースのかわいさが「効く」こともあります。
代金も本人の手に握らせましょう。お金というものを触らせるチャンスです。
電子マネー決済が進んで、子供たちが「通貨」や「おつり」という概念を理解しにくくなっています。
前述のとおり、幼子は興味や好奇心が持続しません。買い物や、教室の発表会などのイベントを利用して、興味を持続させ、バイオリンを習うことを日常生活に組み込みましょう。
バイオリンを習わせるのは、ひとつの事柄に集中できる年齢になるまで待つのも、賢明な考え方です。買わねばならない分数バイオリンの数も、少なくてすみます。
半年とか数年の間を空けて、単発レッスンに繰りかえし訪れる保護者さんもおられます。子供は何歳になった段階でどんなことに興味を示すかわかりません。バイオリンを触らせて反応が薄いなと思ったらサッと諦め、しばらく時が経ったら再び触らせてみるわけです。
♫ レッスンに通えそうな手応えのある子には
どれだけ続くかわからない最初の1台でも、楽器クラスの値段のバイオリンを買ってあげましょう。
楽器の音色の良し悪し、弓の弾きやすさは、未就学の子であっても本人のやる気に影響します。
楽器クラスのバイオリンを買ったばあい、世代を超えて使うことができます。買ってあげた子がレッスンが続かなくても、弟や妹、親戚の子、少し先の未来にお孫さんに習わせることもできます。
レッスンに通えるほどの興味は示していない子、バイオリンをさせるほどの身体能力に達していない子には、メルカリやネットオークションに出ている中古バイオリンなど おもちゃクラスの楽器を買い与えて、自由に触らせてみる。という手もあります。
バイオリンを弾く動きは単純ではなく、年齢の低い子には難しい動作です。しかしバイオリンという楽器の材質や構造、そしてその音色は、シンプル(単純)でプリミティブ(原始的)です。プラスチックのおもちゃより、電子的な音楽より、子供の五感・感受性・身体感覚を刺激してくれます。
最初はピッチカートで(はじいて)ギターのように遊んでもいいと思います。
また滑りにくい座面の椅子の上に置けば、弓で弾きやすくなります。小さな子でも鳴らしやすく、大人の保護者さんが鳴らしてあげることもできます。
早く習わせたいと焦るのはよくありません。そうしたニーズを考慮して、バイオリン・ビオラ・チェロ専門の楽器店にもかかわらず、おもちゃクラスのバイオリンを選択肢として置いてくれている店舗もあります。