中川恵バイオリン・ビオラ教室

顎当てと 肩当ての 合わせ方

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顎当て と 肩当ての 合わせ方

顎当て と 肩当ての 合わせ方

2019/07/25

 

バイオリン・ビオラの肩当てに悩んでいませんか?

気になりだして調べてみても、世の中に肩当ては沢山ありすぎてどうやって選んだらいいか分からない。どう調節したら最適なのかも分からない。そんな場合の手助けになれば幸いです。

 

肩当てを見直したくなったら、まず顎当てから見直しましょう。

顎当ての高さ+肩当ての高さ=顎から胸までの距離。

顎当ての高さと肩当ての高さは、相関関係にあるのです。

(1) まず顎当てから

顎当ては最初から、バイオリン・ビオラにくっついています。バイオリンにくっついている付属品、 顎当て・テールピース・ペグ・エンドピン をフィッティングパーツと呼びます。肩当て・松脂などは、付属品と呼ばれます。

 ※メトロノーム・弦・弓・ケースなども、付属品と呼んだりします。
 ※肩当てまで含めてフィッティングパーツと呼ぶこともあります。
 ※フィッティング3点というときは、テールピース・ペグ・エンドピンのことです。これらはデザインを統一するとバイオリンがおしゃれに見えます。

フィッティングパーツは くっついているものを使うもんだと思いがちですが、交換しても良いのです。

私はエンドピンの先端についていた飾りが首にあたって痛かったので、エンドピンを交換しました。フィッティングパーツを作る専門の工房・会社もあります。それくらい弾き心地を左右する大事な部品なのです。積極的に確認して、合っていなければ交換しましょう。

①顎当ての高さを確認する

自分にはどれくらいの高さの顎当てが合っているか、確認しましょう。
身体の大きな人は、顎当ての高さが足りていない場合があります。

まずバイオリンの、下のエッジの中央を、左の鎖骨のぐりぐりの上に乗せます。肩当ての無かった時代、奏者はバイオリンをここに乗せて弾いていました。ほんの100年前のことです。
肩当てのある今は乗せなくてもいいのですが、ここが離れすぎない方がいいです。触れるか触れないかくらいの距離が、安定する位置です。
バイオリンをその位置にしたとき、鎖骨~顎のあいだを埋めるのが顎当て。バイオリンの裏板~胸のあいだを埋めるのが肩当てです。

ストレートネックにより、鎖骨~顎が広がりすぎていることがあります。そのばあい、顎当ての高さをぴったりにしてしまうと、ストレートネック状態を助長してしまいます。顎当ては少し低めにして、身体の見直しに取り組みましょう。

私はバイオリンが鎖骨に触れていて、鎖骨に痕(あと)が付いています。深山尚久先生には、痕が付いている方がいい、と言われました。バイオリニストは顎の左下にもアザができますが、ひどすぎる場合は 上手に楽器が保持できていないといえます。

②顎当てのタイプ

顎当ては大きく分類すると、以下のようになります。
顎当ての章に5枚の写真を挿入していますが、順番に①~⑤タイプのものです。

①テールピースの左に脚があり、顎当ても左にある
 スズキ、カウフマン、クライスラー

②テールピースの左に脚があり、顎当てはテールピースの上にのびている
 スチューバ、ドレスデン

③テールピースの左右に脚があり、顎当てはテールピースの上にのびている
 ガルネリ、ストラド、チューリッヒ

④テールピースの左右に脚があり、顎当てはテールピースの上にある
 バーバー(オーレンフォーム)、フレッシュ、チットマン

⑤1本脚、顎当てはテールピースの上にかかっている
 SAS、ウルフ社のもの

③顎当ての選び方

高さと、左右の位置から、自分に合いそうなタイプを絞りましょう。
顎当てを選ぶのは、肩当て同様、実物を試さなければ難しいです。いろんな顎当てがある楽器店はなかなかありませんが、できるだけたくさん置いてある店舗に出むいて、店頭に在るものの中から取捨選択をスタートするのが現実的です。

①は高さが最も低いです。
②③が少し高くて、④⑤が最も高いです。
分数楽器やビオラは、低めの顎当てが合います。

高さは、コルクを足したりはがしたりすることでも調節できます。肩当ての高さが足りなくて困っている場合にも、顎当てにコルクを足して解決することがあります。コルクで左右の傾斜を調整することも出来ます。

高さだけでなく、左右の傾斜も大事です。
②③は、テールピース側が高く、反対側が低くなっています。
⑤SASは、左右の傾斜が調節できるモデルです。

前後の傾斜も大事です。手前の縁が、中央より高いと挟みやすいですが、その差がありすぎると首を痛めます。どちらかと言えば平ためが良いというのが、これまでの経験で得た結論です。
しかし平たいと挟んで楽器を保持することがしにくく、体全体を使ってバランスで保持することが求められます。そのほうが体に優しくて健康によく、老いても楽器を弾き続けることができます。

昔からあるモデル、主に欧州やインドなどの工房で職人さんが削っているものは、お皿のカーブが1点1点違います。購入するとき注意してください。モデル名を指定して買っても、欲しかったものと違ったりします。

私の経験では、ピッタリ!フィットするものより、ハンドルの遊びのように合わない隙間が多少ある方が、長時間弾いても疲れません。左右や前後の傾斜も、あまり細に入らず ”だいたいまあこの辺で” という感じで選ぶ方が、時間もムダにならず良いかと思います。

③④のオーバーテールピースの顎当ては、底辺とテールピースが接触してしまう場合があります。これは顎当てを削ってもらえれば解決します。顎当てに削る余地があるか購入前に確認しましょう。

④顎当ての脚とエンドピンについて

脚の形状は大きく2タイプあります。2本の脚が、コの字につながっているタイプと、独立しているごついタイプです。独立しているものは、ヒル型といいます。(「顎当てのタイプ」の章の写真、中央上の金色のものがヒル型です。)違うタイプへの交換もできます。

楽器への影響を考えると、テールピースの左右に脚がある③④がいいです。脚の位置には、内部にボトムブロックと呼ばれる補強材が入っているからです。
楽器の健康が一番と考える職人さんは③④を付けたがり(?)ますが、弾く私たちは身体の健康が一番ですから、身体に一番楽なタイプを選びましょう。
①②のタイプは、分数バイオリンを弾く子供たちのために登場したのかも知れません。

脚の金具の締め方が強すぎると、楽器を締めつけてしまいます。顎当てのコルクが楽器にへばりついて取れなくもなります。弱すぎると弾いているときはずれてきますので、程よい締め具合をおぼえましょう。

脚は金属ですし、当たっている場所が痛いことがあります。特に小さな子供さんは痛がることが多いです。そのばあいは何かしらでカバーしたり、顎当てのタイプを変えたりします。
また金属アレルギーの方向けに、プラスチックの脚だったり、合皮カバーが付いている顎当て(ウルフ社)もあります。ヒル型の2脚の幅が、通常の倍ほどの広さになっている顎当てもあります。
③チノ、④フレッシュフラットワイド

エンドピンも痛いことがあります。
バイオリンの操作性を高めるには、エンドピンと首はフィットさせます。しかしエンドピンの頭頂部に、ペグのデザインと合わせた小さな装飾が付いていることがあり、これが首に当たると痛いのです。痛い場合は、我慢しないでエンドピンを交換しちゃいましょう。エンドピンは木製ですから、やったことはありませんが自分で(または職人さんに頼む?)削りおとすという手もあると思います。したことありませんが。。
小さな子供さんはエンドピンそのものを痛がることがあります。バイオリンのレッスンは、顎当ての脚やエンドピンを痛がらない年齢からのスタートにしてもいいと思います。

(2) 肩当て

顎当てがOKなら肩当てを選びましょう。ほとんどがブリッジ型ですが、パッド型もあります。

響きが悪くなるからと肩当てをしたがらない方もおられますが、運弓を安定させることができれば良い音色が出せます。肩当てが無くても操作性に支障がないのは、身体感覚によほど優れた方のみです。ブリッジ型よりパッド型のほうが響きは良いようです。

肩当てをすると身体が気持ち悪いばあいは、無しにしてもいいと思います。私も気持ち悪く感じることがあります。しかし肩当て無しで弾いていると、その不安定さから、変な力が入ってきます。肩当てを無しにした瞬間はすがすがしいのですが、時間の経過とともに却って弾きにくくなります。
身体が気持ち悪がる方へのお勧めは、ブリッジ型以外にパッド型やタオル肩当てを用意して、肩当てを付けたりはずしたり、肩当てをとっかえひっかえしながら弾くことです。
※タオル肩当てについては ③パッド型 を参照のこと。

顎当て同様フィットし過ぎないこと。
高さはピッタリより少し低めのこと。
遊びが必要です。

①ブリッジ型の高さと幅について

肩当てを選ぶとき、最も大切なのは自分の胸に触れたときの居心地です。胸のどの位置に触れるかで、居心地のよさが大きく変わってきます。肩当てHOMAREが注目されているのは、触れる位置がこれまでになかったタイプであることも理由のひとつです。
胸の来てほしい位置に収まってもらうには、幅が小幅に調節できるものがベターです。KUN Original か KUN Super だったら、Superを選びましょう。

もうひとつ大切なのが高さです。ブリッジ型は高さが調節できるものが大多数ですが、できないものもあります。高さの上限と下限も様々です。ネジ部分が長い別売りのパーツが買える肩当てもあります。(上の写真の、右のパーツは、Pedi カーボンの別売りパーツ)

②ブリッジ型の材質別の特徴

広く使われているのはプラスチック。軽くて安くて、壊れやすいです。ウレタン部分を削ったりもできます。
カーボンの方がプラスチックより軽くて響きがいいのですが、価格は高く、更に壊れやすいです。

数十年前の肩当ては、高さや幅が調節できない鋼タイプが多かったです。( (2) 肩当て タイトル下の写真)
いまある鋼ベースの代表的な肩当ては、WOLFでしょうか。(上の写真)
重たいですが、フレームを曲げたり、ウレタン部分を削ったり、加工できます。(写真左下のものは、かなり加工しています。)

木製のもの(標題の写真)は音質が良いと言われます。音色で木製をえらぶならマッハワンでしょう。
でも身体が楽かどうかが一番大事。音質にもっとも影響を与えるのは、結局「弾き方」だからです。そう考えると重さも大切な要素です。

木製の肩当てで気をつけたほうがいいのは、同じモデルでも形が違う点です。ビバラムジカなど、ロットが違うと同じモデルとは呼べないくらい木製部分の形が変わります。

③パッド型

パッド型でお勧めなのが、Belvelin社のShoulder Cushion です。大中小(写真上部 左から)とあります。やや高さがありすぎ、カーブもきつめなので、カッター等で削ると良いでしょう。ブリッジ型がごつ過ぎて合わない子供にも、使いやすいです。

Belvelin社からは Shoulder Pad という丸いタイプも出ていますが、四角い ZEN-48(写真下)のほうが良いと思います。いずれも小さめの分数バイオリンにお勧めです。
大きな輪ゴムで止めたり、ゆるい接着テープで裏板に貼ったりする肩当ては、ほかにもあります。高さ、素材のクッション性、取り付け方で選ぶといいと思います。

タオル肩当てというものも、うちのバイオリン教室ではよく用います。ハンドタオル等をバスマットの滑り止めシートでくるんだだけ肩当てです。ハンドタオルの丸めかたで高さや幅が調整できるので、小さな分数バイオリンに便利ですし、しっくりくる肩当てがない大人の生徒さんに使えます。

肩当て無しにトライするとき、滑り止めシートでくるんだハンドタオルを楽器と身体の間に押し込むと、楽器を支えやすく操作性が上がります。

(3) 総括

いろんな肩当てを試し、加工もしましたが、結局いま使っているのはKUNのSuper。(2022年現在 HAYATE にしています。)物体(材質)としてはマッハワン、Pediのカーボンなどが好きです。しかし幅の調節がおおまかなので、来て欲しい場所に来てくれません。

フィッティングパーツは、こだわり過ぎると泥沼にはまります。
あきらめ。踏んぎり。「キミが私に合いなさい!」という気合いも必要です。眼鏡とおなじ。

左胸~左上腕がゆるむと、右の運弓も楽になり可動範囲が上がります。これまで出来なかったことが出来るようになります。顎当て・肩当ての見直しは、思いたったときに、何年かごとにしましょう。

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