中川恵バイオリン・ビオラ教室

バイオリンの弾きやすさと足の裏

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バイオリンの弾きやすさと足の裏

バイオリンの弾きやすさと足の裏

2021/10/10

♫ 先生はなぜスリッパを履いている?


井手町教室のレッスンルームは、畳です。
しかし何故か先生はいつもスリッパを履いています。
そして玄関には生徒さん用のスリッパが。

 

”先生、スリッパを履いた方がいいですか?” と尋ねてくださった生徒さんもおられました。
スリッパが出ている理由は、自分が履いてるのに生徒さんには出さないの?  と思うからであります。
そして私がスリッパを履いている理由は、その方が足裏で全身を支えやすく、バイオリンが弾きやすいからです。


ここ100年で地磁気が半減してしまった、体を動かさなくなった暮らしの私たちには、足裏のアーチがありません。私も人並みにありません。

立っているとき自分の足裏を観察すると、踵に体重を乗せています。
足の指はまあるく縮めていて、指の付け根が床についていません。
無理やり指を真っすぐに伸ばして床につけると、崩れた横アーチの真ん中が床に当たり、その状態で歩こうとすると人差し指の付け根の「中足骨」と魚の目が床に当たって痛いし、筋肉や靭帯も押しつぶされて広がるのをイヤがります。

 


♫ 芯材の良いスリッパ SASAWASHI

 

は、足裏のクッションとなってくれて、人差し指の付け根にも体重をかけることができます。
スリッパは SASAWASHI というメーカー のもので、もう20年以上スリッパはこれしか買っていません。

SASAWASHI のスリッパは天然素材でできていて肌触りがよく、足の指も喜んで伸びます。
アクリル素材のスリッパだと、足裏の皮膚は触れるのをイヤがります。


SASAWASHIスリッパ唯一の難点は、皮脂の汚れをよく吸うので、度々洗わなければならないことです。
しかしその肌触りの良さは比類するものがなく、足裏の快適さにはかえられません。

(乾いていると強いのですが、濡れると弱くなるので、あまりゴシゴシ洗わないこと。)

 


♫ スリッパ以外に、足裏に仕込んでいるものがあります


ジェル素材の足裏パッドです。

ジェル素材の足裏パッドは普通靴の中に入れるものなのですが、足裏に貼りつくし、靴下にも貼りつきます。
これを貼ると、疑似の足裏アーチができて、スクッと立つことができます。


この立ち方に上体が慣れてしまうと、パッド無しに立っているときの上体のベチャッした感覚が、気持ち悪くなってきます。
身体のあちこちが痛くなり、気分もウツウツとして来て、とてもバイオリンなど弾けたものではありません。

 

ジェル素材の難点は、肌触りがよくないことです。
そのため、例えば炊事で動き回っているあいだ気にならなかったパッドも、食卓に腰かけると途端に違和感がドッと押し寄せて、即はがします。

頻繁に貼ったりはがしたりするのは面倒なので、起床してから掃除・洗濯・炊事を2時間くらい通してするときや、バイオリンを弾くときなどに貼っています。

 

 


♫ 足裏体操もしています


スリッパと足裏パッドは あくまで対処療法。
自分の足裏にしっかりアーチがあれば、要らない道具です。

 

大人の足裏アーチは戻らない、というのが通説ですが、諦めの悪い私は足裏の筋肉や筋を鍛えるべく、しょっちゅう動かしています。なにもしなければ足裏アーチはへたってゆく一方だからです。

 

・足の指を伸ばす
・横アーチが欲しいところを縮めたり広げたりする
・縦アーチが欲しいところを縮めたり広げたりする
・足首をよく動かす
・お風呂のなかで手で動かす

 

こんなことをしています。
足裏体操をしていなかった頃よりは、わずかに良くなってきました。

 

脚と足に関する師とあおいでいる水口慶高さんが、足裏アーチの崩れは足首から始まる、と言っています。
この説が本当かどうかは、実感として私には未だわかりませんが、そのため足裏体操のなかに足首ぐるぐるも入れています。

 

水口さんを通して知った「膝の過剰回内」については、アスリート界でも定説となっているようです。
自分自身の立ち姿や弾き方も良くなったし、生徒たちの膝・足腰も改善できた経験があります。
実のところ「膝の過剰回内」は、殆どすべての生徒さんに改善の余地があり、効率的な教え方のパターンを見出したいと思いつつまだ出来ていません。

 

 

♫ 足裏アーチがあるとバイオリンが弾きやすい

 

何故そこまでして、足裏・脚腰を変えることにコダワルかといえば、バイオリンが弾きやすくなるからです。
足裏アーチがある方が、身体の余計な力みを手放せるのです。

 

バイオリンとはなんと弾きにくい楽器なのだろう、と多くの生徒さんが思ってらっしゃるでしょう。
身体の余計な力みがなければ、バイオリンは弾きにくい楽器ではありません。
日本を代表するヴァイオリニストの大谷康子さんなどは、弾けば弾くほど体幹にエネルギーが流れ元気になる、とおっしゃっています。

 

私は身体が、特に右肩が時にとてつもなく痛いということを何度か書いていますが、それは全身の骨格の崩れやエネルギーの流れの滞りからきていて、足裏アーチのなさも大きな原因だと感じています。


バイオリン教室の生徒さん全員の足裏を見せて?もらったワケではありませんが、一見して足裏に課題があると感じる方は少なくありません。
足裏に課題があると、脚に出るので、立ち姿でわかるのです。
人間歳をとれば体のあちこちに不具合が出てきますが、立ち姿に関しては年齢が若い世代のほうが悪くなっています。
人工電磁波の増加も影響しているのではと思っています。

 

積極的に大地と接触して、体内に溜まっている負荷を放電しましょう。

足裏で土に触れるのが一番ですが、手で樹や草に触れるのも効果があります。

体に不自然な帯電があると、脳からの指令(電気信号)が正確に体へ伝わりません。

当然バイオリンも上手に弾けないわけです。

 

足裏のアーチは、「骨格で作る身体のフレーム」や「筋肉や関節の柔軟な動き」を支えてくれます。
言い方を逆にすれば、「骨格で作る身体のフレーム」や「筋肉や関節の柔軟な動き」を体験したことのない体では、足裏アーチが崩れていることからくる気持ち悪さに、気づけないのです。
自分の足裏に課題があると感じられないことは、足裏に課題があること以上に、危惧すべきことかもしれません。

 

バイオリンが上手に弾けるようになりたい!と思うことが、放っておけばいつか病気につながる身体や足裏の問題に気づくきっかけになり、予防となる。そんな側面もあるかもしれません。

 

一般的に足裏のアーチは、10歳くらいまでに形成されるそうです。
幼児の骨格から変化して、大人の骨格が完成するころあいだそうです。
まだ間に合う年齢の生徒さんは、外遊びして足腰を使いましょう!
もう間に合わない?生徒さんたちも、私の悪あがきに倣ってみませんか。

 

 

足裏については、こちら記事でも書いています。

2020/07/10  脚と足と、靴のはなし

 

また「♪レッスンの引き出し  身体編」のカテゴリでは、レッスンに取り入れている手法や、身体の様々な部位に関する考察を書いています。

 

 

 

♫ 横アーチを支えるサポーター


足裏の崩れた横アーチを疑似的に作る対処療法に、サポーターがあります。
スポーツ用のシューズメーカーなどから販売されており、私もいくつか持っています。

弾力包帯という伸縮しにくい包帯で、患者さんの偏平足が改善した、と報告するお医者さんの本も読んだことがあります。
さっそく弾力包帯を購入してトライしましたが、包帯の最後を止めるいい方法が見つからず、頓挫しました。

 

私が今でも時々しているのは、登山をしている方から教えてもらったテーピング方法です。
スポーツ選手が手首や肘、足首や膝などを固定する、テーピングテープの非伸縮タイプ  25~38mm幅 のものを使います。
直接 肌に貼ると粘着力が強すぎるので、アンダーラップテープ というものを下に巻きます。

 

バイオリン教室のレッスンでは、金属フレームの姿見(全身が映る鏡)を用いています。

鏡はリビングでも使っているので、レッスン日はこれを持ってリビングとレッスンルームを往復します。

このテーピングをしている時に鏡を持ち上げると、軽く感じます。

また身体感覚も良くなるので、どこかにぶつけたりせず運びやすくなります。

 

足に直接貼るテーピングテープも持っています。
これは京都市内にある、個人の方がされているフットケアのお店(ペディナースだったと思います)で買いました。オリジナル商品だそうで、そこでしか買えないのですが。

 

いずれも長時間するのは、逆効果です。
ちょっとでも気持ち悪いなと思ったら、即やめてください。
ゆるすぎても横アーチを助けてくれる効果がないので、貼るときのテープの引っ張り加減が大事になります。

 


♫ 横アーチを支える靴


靴を履いている時間は、靴が横アーチをギュッ!とはさんで作ってくれたら、こんなに楽なことはありません。
しかし残念ながら、日本にはそういう靴がありません。
横アーチの部分はゆったりしている方が良いという誤った考え方が浸透していて、それに疑問を感じたり再考しようとする専門家やメーカー、消費者が少ないのです。

 

この記事の標題の写真は、私の持っている「ワイズB」の 横アーチを支えてくれる靴です。

普段使いには足が痛いので、ヒモ靴などで移動して、弾くときだけ履きます。

 

靴の中に入れるインソールで、スポーツ界のランナー達に支持されているスーパーフィートという商品も気に入っています。
底面が硬いので、中指の付け根の「中足骨」や魚の目が当たると痛いのが難点ですが、靴下を履けば大丈夫なので、靴の中に入れて使っています。
各人の足裏に合った型を選ばなければならないのですが、少し大きめのスポーツシューズ店であれば取り扱っており、知識のある店員さんがいればどの型が合うか見てもらえます。

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