中川恵バイオリン・ビオラ教室

初めて買う、1台目のバイオリン

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初めて買う、1台目のバイオリン

初めて買う、1台目のバイオリン

2024/02/08

バイオリンを始めるとき、続くかわからない習い事(趣味)に、どれくらいお金をかけていいものか、悩まれると思います。

そんな大人の初心者さん・保護者さんへ、私の教室でご案内している「最初の1台」のガイドラインを、記事にしました。レッスンにお越しになられた生徒さんに渡してきたプリントの内容です。

 

初心者さんのバイオリン・ビオラ、子供さん2台目の分数バイオリン、また1台目の分数バイオリンでも 1/2以上の場合、下の内容に添ったものをお勧めします。

1台目で1/4以下の場合、安いものでいいよと言いますが、下記のようなバイオリンを買うに越したことはありません。

 

何(メーカー・ブランド)を買うかより、どこで買うかが大切です。

専門の楽器店(または工房)で買いましょう。

専門の楽器店とは、『バイオリン・ビオラ・チェロ販売が事業の柱』になっているお店です。この記事は、そうしたお店で買うことを前提としています。

「バイオリンの買い方」タグも参考にしてください。

 

コロナ前は、良いバイオリン&良い弓&必要な品々を、10万円以内で揃えることができました。しかし昨今は物価高や伐採制限で難しくなってきています。でも中古バイオリンなら探せるし、エイジングにより新作より音質が優れていることもあります。

ビオラはバイオリンに比べ市場がかなり小さいため、バイオリンより割高ですが、注意点は同じです。

 


(1)バイオリン(ビオラ)・弓・ケース

 

①バイオリン(ビオラ)

 

●重たいものは避けましょう。木で作られていますから個体差があります。

 

●専門の楽器店で買う場合、新作より中古がお勧めです。(木は水分が抜けてゆくので、中古のほうが軽くなります。)

様々な楽器を扱っている楽器店では、瑕疵の心配がいらない新作にしましょう。

メルカリやヤフーオークションの中古は玉石混交で、修理代で結果的に新作より高くつくことがあります。

 

●「削り出し」のほうが、「プレス」よりいい場合が多い。

プレスは、平らな板に圧をかけて、表板と裏板の丸みを出したもの。削り出しとは、丸みが出るよう削ったものです。プレスしてから削り出したものもあります。
必ずしも「削り出し」がいいとは限りませんので、弾き比べの段階では聞かず、最終決断の前に聞くといいと思います。削り出しは、垢ぬけない音の楽器もあります。プレスで音色が明るくきれいだと感じるものもあります。

 

●ドミナント(クラスの弦)が張られている楽器にしましょう。

楽器店は、販売価格を少しでも安くしようと考えると、安い弦を張ります。特に、ドミナントを張っても それだけの音色が出ないと思われる楽器には、安い弦を張ります。ドミナントを張っているということは、それだけの価値がある楽器だと考えているのです。

 

●見た目や触れたときの好き嫌いも、大切にしましょう。

 


②弓

 

●弓は手の延長なので、どれを選ぶかは楽器より大事です。(私のバイオリンとビオラは、楽器より弓の方が高いです。)

 

●買主の多くは、楽器の品定めは慎重にするけれど、弓の品定めはあまりしません。ですから、楽器の1/4~1/5ほどの値段の弓がセットにされています。楽器が6万円、弓が1万5千円、ケースが1万円、計8万5千円、といった具合です。

 

数万円~十数万円のバイオリン(ビオラ)は、楽器と弓とケースがセットになっていて、そのセット価格が表示されています。そのため楽器を選んでから弓を選び直すと、たいてい元のセット価格より高くなります。

 

『バイオリン・ビオラ・チェロが事業の柱になって』いないお店では、セットは崩せない=弓を変えれないことが多いです。専門の楽器店であれば、弓の変更はお願いできます。

 

●弓の材料はフェルナンブーコがいいです。現在フェルナンブーコの弓は3万円くらいからで、それ以下の値段の弓はたいていブラジルウッドです。おそらく近い将来、フェルナンブーコ弓は3万円でも買えなくなるでしょう。

 

カーボン弓はコストパフォーマンスが高い(値段のわりに使用感がいい)です。ただし木より劣化が早く、製品としての寿命が短いです。

 

中古のセットは、値段が安くても、弓がフェルナンブーコのことがあります。

 

フェルナンブーコとブラジルウッドは粘りが違います。弾き比べるとブラジルウッドは頼りない感じ。しかし木材なので個体差もあります。

 

●弓は楽器以上に、値段と使いやすさが比例しません。ですから予算を伝えて出してもらった弓は、値段を見ないで、材質を聞かないで、弾き比べましょう。

弓の予算の目安は、楽器の値段の2割~8割(平均すると半額)くらいと考えましょう。

 

●中古の弓を選んだ場合、毛替えをしていないことがあります。「毛替えしなくてもまだ使える、毛替えするとプラスいくら」という場合は、毛替えして来なくて大丈夫です。

 

 

③アジャスター内蔵テールピース

 

アジャスターとは、駒近くにある調弦のためのネジのこと。子供や初心者さんは、ペグで調弦するのが難しいため、4弦にアジャスターが必要です。

 

1弦に1個付けるアジャスターもありますが、アジャスター内蔵テールピースの方がいいです。理由は、弦と駒との接点が、弦メーカーの設計通りになるし、1弦に1個付けるより、異音につながる可能性が低いからです。

 

分数バイオリンや初心者向けの大人バイオリンには、大抵、アジャスター内蔵テールピースが付いています。付いていなければ、必ず付けてもらってください。

1弦に1個付けるアジャスターが付いていたら、わざわざアジャスター内蔵テールピースに変えなくてもいいと思います。

 

アジャスター内蔵テールピースは、ウィットナー社の製品にしてください。安い類似品もありますが壊れやすいです。専門の楽器店やバイオリン工房であれば、黙っていてもウィットナー社製にしてくれます。

 

 

④ケース

 

中古のバイオリンを買ったとき、中古のケースでよければ無料 or 格安にしてくれます。
素敵なケースだとモチベーションが上がるタイプの子供には、1万円ほどでカラフルなケースもあります。

 

 


(2)付属品、ほか

 

①肩当て

 

1/2以上のバイオリンには、HAYATEスタンダード が一押しです。(1/8~1/4に合う HAYATEスタンダードKidsもあります。)

一般的に汎用性が高いのは KUNの肩当てです。

肩当ては無料でついてくることもあります。その場合は、まずそれを使ってみましょう。

 

肩当ては、体が楽か否かを左右する道具です。合わないとわかったら、合うものを探す。合うものに出会ったら買い直す。妥協は、バイオリンの上達に大きく影響し、体を痛めることもあります。

(大阪梅田のクロサワバイオリンには、試弾できる肩当てが常時20ほどあります。ビオラも10近くあります。)

 

小さな子供さんは、肩当てが入らなかったり、肩当てをイヤがることがあります。大人でも気持ち悪いことがあります。そうした場合は、スポンジで肩当てを作ってみてください。
スポンジ肩当ての作り方

 

 

②顎当て

 

顎当てはバイオリン(ビオラ)にくっついていますが、簡単に交換できるパーツです。

 

子供さんの構えが悪かったり、大人さんが弾きづらかったりするのは、顎当てが高すぎたり・形が合わなかったりするのが原因のこともあります。買うときに、顎当てが高すぎないか、必ずチェックしましょう。その場で交換してもらうこともできます。(当教室にも低めの顎当てストックがあります。)

 

合う合わないは、しばらく弾いてみないと分からないかもしれません。肩当てと同じで、合わないと感じる状態を放置しない方がいいです。健康を害する恐れもあります。


肩当てや顎当てだけでなく、子供さんが弾きたがらない原因が、分数バイオリンのサイズにあることがあります。よくある身長との対比表は、骨格ががっちりした昭和の子供たち向けです。対比表から導き出したサイズではなく、本人が弾きやすいと主張するサイズを買ってあげてください。

 

 

③松脂

セットに含まれている場合もあります。1000~2000円のもので十分。
バイオリンにクロネコダークが付くことがありますが、粘りがあり過ぎます。もっと明るい色のものにしてください。

 

④電子チューナー
最初の1台は、メトロノーム付きの卓上型にしましょう。クリップ型は使いづらく、安い物はすぐ壊れます。

 

⑤譜面台
必ずご用意ください。

 

クロス2枚
道具を長持ちさせたい・節約したいなら、しまう前に拭きましょう。手垢を拭くもの・松脂を拭くもの、2枚いります。きめが細かくて柔らかい、けば立たない綿がいいです。

弦や顎当てが長持ちするバイオリンの拭き方

 

⑦ミュート
家で音量が気になる場合は、音量を押さえる器具があります。駒の上にかぶせて振動を押さえます。2/3くらいになるゴム製、1/3くらいになる金属製があります。

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